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オーストラリア首相、中国の警告にもかかわらずダライ・ラマと会見

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(2007年6月15日 AFP通信)

オーストラリアのジョン・ハワード首相は15日金曜、中国からの豪中関係が悪化するとの警告を無視し、ダライ・ラマと会見した。

ハワード首相は当初、チベットの精神的指導者であるダライ・ラマの10日間の豪州訪問中、会見の予定はないとしていたが、北京政府にへつらっているとの批判を受け、今週になって考えを変えた。

ハワード首相は数日にわたり、ダライ・ラマとの会見の日程は調整中であるとしてきたが、ついに金曜の夕方、シドニーの首相官邸に71歳になるダライ・ラマを招待し、約20分間の控えめな会合を持った。

ハワード首相は会談後、その内容については何も明かさなかったが、事前の発表で、議論の内容は精神的な事柄に限らないとし、報道陣に対し次のように語った。「国際的重要人物との会見はいつでも歓迎する。精神的な事柄だけでなく、現世的な事柄についても議論を交わすつもりだ。」

この会談は、ハワード首相とニュージーランドのヘレン・クラーク首相との会談の数時間後に行われた。クラーク首相は14日木曜、オーストラリアの空港のラウンジで”偶然”ダライ・ラマと出会い、10分間の会見を持ったという。

その後、クラーク首相が語ったところによると、両者は精神的な、政治的でない事柄について議論を交わし、翌週のニュージーランド訪問では会見の予定はないという。

ノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマの今回の外遊は、両国にとって外交上の悩みの種だった。中国は、中国支配に対する1959年のチベット人蜂起の失敗の後、亡命したダライ・ラマを受け入れる国に対して強く反発してきたからだ。

北京政府はダライ・ラマをチベット独立を目論む“分離主義者” と非難しているが、ダライ・ラマが求めているのはただ、故郷チベットの、ある一定の自治権だという。チベットは1951年に中国がこの地域を“解放”するために軍を送り込んで以来、中国によって支配されている。

中国は今週、ダライ・ラマの豪州訪問とハワード首相との会見によって、豪中関係は悪化するだろうと警告した。

アジアの巨人と呼ばれる中国は、オーストラリアにとって重要な貿易相手だが、キャンベラ政府は北京政府から警告を受けた後、ダライ・ラマは政治的というより宗教的リーダーであるとして、ビザの発行を拒否することはないと表明した。

しかし、注目を集めるハワード首相との会見に対して、キャンベラ政府が抵抗感を示していることは、金曜の会見の後、ハワード首相が報道陣に対して何のコメントもしなかったことで裏付けられた。

クラーク首相は、ダライ・ラマと空港で短い会見を持ったことで、国内から北京を恐れているとの批判を受ける恐れをなくし、同時にこれ以上の接触を持つ必要もなくなったと考えていることを明らかにし、次のように語った。「ウェリントンでの会見の予定はありません。すでに会談の機会を持ち、信仰と異文化間の事柄についてしかるべき議論を交わしたので、それで充分であると考えています。」

スポークスマンによると、ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ外相は21日木曜、大臣としてではなく、私的な立場でダライ・ラマと会う予定だという。会見はピーターズ外相の執務室で行われる予定はない。

ダライ・ラマは16日土曜、オーストラリアからニュージーランドへ向けて出発する。