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なぜチベット人は焼身するのか?

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(2013年2月4日 CTA

ダラムサラ、2013年2月4日 (IANS): なぜ中国でチベット人は焼身するのか? 圧政に抗議しているのだろうか、それとも中国が主張しているように、決死の試みによって自らの大義に世界の耳目を集めようとしているのだろうか?

理由は単純で、60年超に及ぶ中国によるチベット支配の失政がそれである、とチベット亡命政権傘下のシンクタンクであるチベット政策研究所のツブテン・サンフェル所長は言う。同研究所は先週、焼身抗議の理由をつきとめる白書を発表した。

およそ100名の、大半は10代の僧侶、尼僧、世俗の若者が、北京の中国政府の「弾圧政策」に抗議し、ダライ・ラマ法王の故郷への帰還を要求するために2009年からチベット本土で焼身行為に及んだ、とチベット亡命政権は言う。

サンフェル所長によれば、焼身は一夜にして始まったものではない。

「焼身者たちは、幾年にも及ぶ圧政、同化政策、社会的差別、経済的圧迫、環境破壊に突き動かされていた」とサンフェル所長はインドの通信社であるIANSに語った。

1月28日に公表されたこの白書によれば、中国の極端な失政によって、新世代のチベット人たちは社会から完全に疎外されている。

チベット人は、自らが疎外されているという感情を、自分たちがこれまで一度も会ったことがなく、50年以上もチベットに足を踏み入れていないダライ・ラマ法王に忠誠を示すことで表現している、と白書は言う。

しかし、中国の国営日刊紙は、ダライ・ラマ法王が主導するチベット人の一味が中国政府に「虚偽の罪を着せている」と非難している。

北京に拠点を置く英字紙であるグローバル・タイムズは、1月の社説で、ダライ・ラマの一味が「国際社会の注目を集めるために意図的に恐怖感をあおり、若者の命を利用して自らの政治目的を達しようとしている」と述べている。

亡命チベット政権の指導部は紙面の主張は「国家的プロパガンダに過ぎない」と述べている。

「若いリベラルな中国人の間にはチベットへの共感が育っている。猊下(ダライ・ラマ法王)は中国当局や中国国営メディアによって誤った中傷を受けてきたにもかかわらず、中国の知識人層、とりわけ在外中国人の間でどんどん支持を広げている」とチベット亡命政権のロブサン・センゲ主席はIANSに語った。

「我々はすでにチベット人に対し、このような過激な形での抗議を控えるよう訴えかけている。しかし北京政府が苛酷な政策をやめれば、焼身行為は自動的におさまるだろう」と、43歳のハーバード大学出身のセンゲ主席はいう。

ここダラムサラに拠点を置くチベット人権団体は、チベット本土の人権状況は2012年にこれまでにないほど悪化した、と語った。

チベット人権民主センターのツェリン・ツォモ所長は、中国政府は「チベット人による要望や不満のあらゆる表現に対して分離主義的だとのレッテルを貼り、それを治安維持の分野に封じ込め」続けていると述べた。

1959年に故郷を逃れて以来、ダライ・ラマ法王はインドに住んでいる。チベット亡命政権はこの北インドの高台の街に拠点を置いているが、いかなる国家からも正式に認められていない。インドはおよそ10万人のチベット人にとっての故郷となっている。


(翻訳:Haruka)