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【グローバルインタビュー】 「中国はダライ・ラマの死を待っている」  ダライ・ラマ法王日本代表部事務所ラクパ・ツォコ代表

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(2010年6月13日 MSN産経ニュース)

チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が18日に来日、26日には横浜市内で「共生・共存」をテーマとした講演や法話を行う。1989年にノーベル平和賞を受賞し、世界で多くの尊敬を集めるダライ・ラマ。ただ、中国との共存を目指し「高度な自治」を求めているチベット亡命政権と中国政府との対話は、一向に進んでいないのが現実だ。チベット問題の現状などについて、亡命政権の“駐日大使”に当たるダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表に聞いた。(大内清)

−日本でのチベット問題への関心度は

「残念ながら、欧米などに比べると十分に認識されているとはいえません。ただ、(中国チベット自治区などで中国政府に対する大規模抗議行動が起きた)2008年3月以降は、特に若い世代で徐々に関心が高まってきていると感じます。今後もより多くの人に関心を持ってもらえるよう、地道な努力を続けていきます」

−日本は中国と経済的な結びつきを強めていますが、それによるチベット問題への影響は

「われわれは、日本と中国の関係がもっと良くなってほしいと願っています。何でも言い合える仲になれば、言うべきことを明確に伝えることもできる。日中の友好が深まることは、チベット問題の解決にとっても有意義なことなのです」

−中国側はダライ・ラマを「分裂主義者」と呼び、チベット自治区などへの開発投資を増やしている

「中国政府がチベットの経済発展を進めることを否定するつもりはまったくありません。ただ、現在の開発は軍事的な目的やチベットの天然資源の獲得などのために行われており、チベット人のためになっていない。チベット人は『2等国民』扱いされ、そうした不満が08年の抗議行動につながりました。われわれが求めているのは独立でも分裂でもないのです」

−亡命政権と中国との対話は進んでいない

「中国政府で主導権を握る強硬派は法王(ダライ・ラマ)の死を待っているという状態でしょう。しかし、中国政府の一部には、チベット人の尊敬を集める法王が在世中に問題を解決すべきだとの考えの持ち主もいます」

−ダライ・ラマが死去した場合、亡命政権内で強硬派が台頭する懸念があるとも指摘される

「そうなれば、内外のチベット人は揺れるでしょう。一部の強硬な意見に傾く人が出ないとは言い切れませんが、法王が敷いた(「高度な自治」要求などを軸とする)中道アプローチは若い世代に確実にバトンタッチされていくと思います」

−日本の菅新政権に期待することは

「日本はアジアだけでなく世界で非常に存在感があり、チベット人にとっては親しみを感じる国です。政府には、中国との良好な関係を築きながら、チベット問題にも関心を示してもらえればと思います。チベットは中国だけでなくアジアの重要な政治問題なのです」


ダライ・ラマの法話・講演は6月26日、横浜市西区のパシフィコ横浜で行われる。テーマは「共生・共存」や「幸せの本質」について。第1部(法話)は午前10時〜正午、第2部(講演)は午後2〜4時。チケットの問い合わせはダライ・ラマ法王日本代表部事務所((電)03・3353・4094)まで。

関連情報:

6/26(土)ダライ・ラマ法王 横浜法話・講演

「より多くの人にチベット問題に関心を持ってもらいたい」と語るツォコ代表=東京都新宿区(大内清撮影)