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「北京は異議を押しつぶす全権委任を与えられた」 と人権活動家は語る

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2001年7月13日
北京発(AFP)

人権擁護活動家たちは金曜日、オリンピック委員会が、中国による130億人の人権無視を黙認し、中国政府が自由に振舞えるよう全権委任を与えたとして非難した。 北京が、2008年のオリンピック主催地としての権利を獲得したことが発表された数時間後、人権活動グループは、IOC、および企業スポンサー に対し、中国が約束した人権問題の改善を確実に見届けるよう求めた。

ヒューマン ライト ウォッチのシドニー ジョーンズ アジア支部ディレクターは、「2008年の中国がどのようであるか予想もつかないが、オリンピック自体が中国政府の抑圧を軽減する訳ではないことは、想像に難くない」と語り、次のように述べた。

「人権を保護するためには、民間部門の協力が欠かせないのである」

彼女はまた、中国でオリンピックに関連する人権侵害が起こった場合、IOC、および大企業もその責任を免れることはできない、とも述べた。

アムネスティ インターナショナルは、ロンドンで発表した声明の中で、「中国政府は、フェアプレーの精神を掲げ、普遍的で基本的な倫理上の原則を中国国民に対しても適用してこそ、オリンピックを開催する意味があることを証明しなければならない」と述べている。

しかし、反体制者や活動家たちは、中国が態度を変えることに対し、依然として懐疑的である。

反中国活動家の指導者で前政治犯のハリー・ウーは、ワシントンで発表した声明の中で、「中国は、オリンピックの主催国としての経済効果や宣伝効果を利用し、腐敗した体制をなんとか立て直そうとしているのだ」と語った。

彼はまた、「一人の中国人である私自身、本日の決定は、中国人の心の中で大きな誇りとなったことも理解している」とも述べ、次のように続けた。

「しかし、私自身の心の中では、IOC がおそらくとんでもない間違いを犯したという危機感しか感じることができないし、私の祖国が自由な民主国家としてオリンピックを主催する名誉や賞賛を受けることがないことを、非常に残念に思う」

チベット亡命政権は金曜、IOC の決定を、中国の人権侵害に対する 「国際的な容認の印」として非難した。

亡命政府のT.C.テトン外務大臣は、”中国が2008年のオリンピック開催国として承認されたことを、非常に遺憾に思う” との声明を発表した。

また、インド北部の丘陵地帯のダラムサラに拠点を置くチベット亡命政権は、「今回の決定は、中国政府による人権侵害を国際社会が認めたことにほかならない。中国政府による抑圧はいっそう拍車がかけられるだろう」という緊急声明を発表した。

チベットの精神的指導者であるダライ・ラマ法王は、中国軍がヒマラヤ地域に侵攻してから9年後の1959年に祖国を離れ亡命している。

中国でもっとも著名な反体制活動家の魏京生(ウェイ・ジンシェン)は今週の初めに次のような談話を発表している。
「中国における人権を取り巻く状況は、ますます悪化している。このことを考えると、中国政府によるオリンピック開催が決定されたなら、それは中国政府による抑圧が加速することを意味するであろう」

中国政府は、人権問題のせいで2000年オリンピックの開催権を、天安門広場での民主化運動活動家たちの大虐殺の4年後である1993年にシドニーに譲らなければならなくなった。

しかし、中国政府はそれ以降も強硬な態度を変えることはほとんどなかった。

共産国としての50年以上の歴史の中で、初めての野党樹立を勇敢にも目指した人たちも、1998年に弾圧され、指導者たちは長期の懲役刑を宣告されている。
その 1年後、仏教の流れを汲む団体である法輪功はその活動を禁止され、何千人もの信者は労働キャンプへと送られている。

香港に拠点を置く現代中国研究フランスセンターのジャン・ピエール・カベスタン所長は、「中国にオリンピック主催を認めることは、現在の中国政府による統治をさらに続けさせることになってしまうだろう」と述べている。

しかし、中国政府は今回、報道対策アドバイザーの力を借りて、自国に対する批判を未然にかわし、PRコンサルタントと協力して、中国が、2008年のオリンピックにより門戸をより大きく解放し人権保証の促進に寄与する、ということを訴えようとしている。

あの有名なオスロ平和研究所のスタイン・トネンソン所長は、「国際社会からは、中国に対しより多くの視線が注がれることになり、中国は表舞台に立たされることになるだろう」 と述べ、次のようにコメントした。

「中国当局は、長年に渡って浴びせられてきた非難の声を、今回は無視することはできなくなると思う」

しかし、この意見に懐疑的な研究者の中には、中国がかつて国際的なイベントを組織したときに、人権問題が目立って改善されたことはなかったことを指摘する者もいる。

カベスタン所長は、このように語る。 「人権問題全体に影響を与えるようなことは起こらないであろう。何らかの改善があるとしたら、それは国際社会からの圧力によるもので、オリンピックそのものがもたらす結果ではないはずだ」