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「チベットは占領下の国家」、ロシアの学者が語る

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(2010年5月6日)

ダラムサラ:「チベットは占領下の国だ。」ロシア科学アカデミーの主席研究員、セルギウス・L・クスミン博士(Sergius L. Kuzmin)はモスクワに本部を置くSave Tibet Foundation とダラムサラのチベット文献図書館(Library of Tibetan Works and Archives)が主催した記者会見で語った。

会見は、博士の著書『隠されたチベット:独立と占領の歴史』が出版されて間もない5月4日、チベット文献図書館にて行われた。クスミン博士が事実に基づき公正な立場で真実のチベット史を記した事に対してサムドン・リンポチェ主席大臣が賛辞を述べた。

博士によれば「チベットがかつて他国の一部だったことはない。中国がモンゴルの元王朝、満州の清朝の支配下にあった時もチベットは独立国だった。唐王朝および明王朝の時代にもチベットが中国の一部になったことはなかった。チベットが隣接した帝国に属していたという主張は中国皇帝による天下統一の概念と関連がある。その統治原理が革命後の中国で単一民族国家構想へと移行していった。チベットの中華人民共和国への統合は正当なものではない。チベットは占領下の国家なのだ。」

「本書前編で私は古代から現代までのチベットの歴史を明らかにすることを試みた。後編では独立国家、中国王朝、中国と隣国、中国の主張とその根拠についての分析を行った」とクスミン博士は語った。

さらに博士は次のように続けた。「結論を言えば、チベットは占領された国家であり、新たな国家や自治体の建設を要求しているのではない以上、その独立を求める動きを分離主義と呼ぶことはできない。その動きはかつて存在していた国家を元に戻すためのものである。カシャックこそは正当なチベットの政府であり、独立国チベット政府の遺産である。」

クスミン博士はチベットが占領された1959年生まれの科学者で、モスクワを拠点に活動している。世界自然保護連合のメンバーでもある彼には200冊以上の著作がある。博士は2008年2月、チベット中で抗議行動が起こる直前にチベットを訪れている。

現在博士の新刊書はロシア語のみで出版されており、www.savetibet.ruで入手が可能である。モスクワにあるチベット文化・情報センターから英訳が出される予定であり、中国語への翻訳も計画されている。

写真:Dr. サルグス・L・クズミン

(翻訳:中村高子)