2011年11月2〜3日
遠い昔、仏教の中心地として栄えた聖地高野山で金剛界マンダラ灌頂本会を行ったダライ・ラマ法王は、信者たちに悟りの心(菩提心)を育むように、と語りかけた。
幸福になれるかは人がいかに心をコントロールできるかに依っている。自らの利益のために他人を利用するのではなく、思いやりの心をもって他者の幸福のために努力することで幸福は生まれる。反対にコントロールされていない心からは苦しみが生まれる。
個人よりもより広い社会の利益を求める気持ちがあれば、たとえ個人的な問題が生じようともそれはとるに足らないことになろう、と法王は付け加えた。
複雑な灌頂の儀式が執り行われている間、ダライ・ラマ法王は菩提心をもち育めるよう祈りなさい、と何度も信者を促した。
儀式が終わりダライ・ラマ法王が会場を去ると同時に、ナムギャル僧院の僧侶によって作られた砂マンダラを見ようと信者が列を作った。
灌頂の後、チベットオンライン・テレビのインタビューに答えて日本人女性が「これまで人のためになろうと精一杯努力をしてきたつもりだが、ダライ・ラマ法王の教えを聴いてさらに精進しようという気持ちになった」、と語った。彼女は緑色のチベットの伝統的な衣装に身を包んでいた。
千葉県から訪れた日本人男性、やまざきゆうへいさんは、「この大変な時にダライ・ラマ法王に来日していただき、日本人は困難を乗り越える勇気をいただいた。心からお礼を申し上げたい」と語った。
法話に先立ちダライ・ラマ法王は高野山の寺院の昼食会に招待された。法王の姿を一目見ようと参道には多くの信者や支援者が詰めかけた。中にはカラフルなチベットの旗を掲げた女性もいた。
(翻訳:中村高子)