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2006年「チベット民族蜂起47周年記念平和行進」 参加報告

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(2006年3月11日 チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(TSNJ)

2006年3月11日土曜日、恒例となったチベット民族蜂起記念ピースマーチが、東京都新宿区2の新宿公園を起点に開催された。
前日の雨も上がり青空の広がった好天のもと、チベットに関心を持つ日本人や日本国内で生活するチベット人ら計約150人が参加、「チベットに自由を」と訴えた。

国内のチベット支援グループの連絡組織チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(TSNJ)が主催。
例年開催地となっていた渋谷区の公園の改修工事に伴い、新宿に場所を移しての開催でPR不足が懸念されていたが、開始時間の午後1時半には、昨年の2倍近い約150人が集合。若い世代が目立ち、チベットの民族衣装チュバやチベットサッカーチームのユニホームを身に着けた人など、さまざまなアピールが目を引いた。

公園ではまず、「Do Ngak Sung Juk(ド・ガク・スン・ジュク)」のNさんが、前日の3月10日にダライラマ14世から発表された声明文の日本語翻訳を朗読。

「すべてのチベット人のため、すなわちチベット民族全体のため、チベット人自らが統治する真の意味での自治を認めてほしい」「チベットの古い格言にあるように『片手だけで拍手はできない』のです」と対話の重要性と平和的解決を求める声明に、参加者は真剣に耳を傾けた。

続いて、「チベット問題を考える議員連盟」(代表、枝野幸男衆院議員)世話人で前民主党衆院議員の牧野聖修氏があいさつ。

「日本の国会で、所属党派を超え170人が『チベット問題を考える議員連盟』に加わっている。それは何より、世界でテロが相次ぎ、暴力の連鎖が起きる中、ダライラマ法王が非暴力と対話で問題を解決しようとしている姿勢に打たれるから」「世界各地で、チベット問題を憂え、欲得を離れてサポートが広がっている。例えば日本政府がODAをチベット政府に支出するくらいのことをしてもよいはず。ピースマーチをきっかけに、さらなる責任ある行動を広げ、チベットと中国が本当の対話のテーブルにつくよう働きかけてていきたい」。
政治家としてチベット問題にかかわってきた人ならではの力強い言葉に、参加者から大きな賛同の拍手が送られた。

また、「チベットサポートグループ KIKU」のKさんからは、中国政府により拘束されたとみられ消息不明になっているパンチェンラマ11世、ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年の釈放と自由を求めるため、シンボルカラーの黄色を身につける「パンチェンラマ11世救出キャンペーン」の説明と呼びかけがあった。

2006年「チベット民族蜂起47周年記念平和行進」参加報告
日本生まれのチベット人の子どもたち。彼らが大人になるまで
にチベット問題が解決していることを願わずにはいられない

この後、参加者は大小のチベット国旗やニマ少年の釈放を求めるプラカードなどを手に公園を出発。
「チベットに自由と人権を!」「教育、宗教の自由を!」——と、日本語・英語・チベット語で声を合わせ、昇降客でにぎわうJR新宿駅の南口前を通り、東京都庁前の新宿中央公園までの約1キロを、30分ほどかけてパレードした。

 

チベットサッカーチームの公式ユニホーム!
東京の目抜き通り、新宿通りの交差点を横切るマーチ。ちょっと快感?
通りの交差点を横切るマーチ。ちょっと快感?
JR新宿駅南口前を通過。道行く人たちも注目

この日、ハンドマイクで3カ国語でのアピールを担当したのは、ネパール生まれのチベット難民2世で、日本で保健福祉士の学校に通う女性。
幼い時に両親を亡くして兄と2人きりになり、インド国軍に就職した兄の助力でTCVを卒業、日本へ留学したという。TSNJが主催するピースマーチで、これまでハプニング的にマイクを持つことはあったものの、チベット人自身が正式にアピールを担当したのは初めて。
終了後、牧野氏は「チベット人の『チベットに自由を』という真剣な心からの叫びに、最後は涙が出そうになった」と感想を話していた。

チベット人自身の訴えを聞いてください
チベット国旗が壮観
道行く人にアピール
都庁に見下ろされ。都知事にもアピール?

また、マーチ参加者の中にはチベット本土出身の若い男性もいた。中国語で教育を受け、北京の大学を卒業後、来日し、今回初めてピースマーチに参加したという。はからずも、1959年のラサ蜂起後、国境の南北に引き裂かれて生まれ、成長したチベット人の若い世代が、肩を並べて自由を訴える形に。マーチ参加者の中でもひときわ大きな声を上げていた男性は「多くの日本人がチベットを支援していると知った。参加してよかった」と話した。

 日本国内にはチベット本土からのチベット人も数多く生活しているが、彼らはピースマーチに参加できない。中国国籍、中国パスポートで生活するチベット人は、日本政府がチベット問題を“中国の国内問題”と扱い、チベット人の政治亡命を認めたケースがないために、チベット本土の家族の安全や帰郷後の身の危険を懸念せざるを得ず、「自由な国」であるはずの日本国内でさえ、行動を自粛しているのが実態なのだ。男性にとって今回のマーチ参加は、日本人参加者や他のチベット人とは違う重みを持った決断であったことを知る必要があると思う。
そして、この日参加した日本人は、ことチベット問題に関しては、チベット本土へも亡命政府へも行ける外国人の立場だからこそできることもあるのだ、という気持ちを新たにしたはずだ。

今回、ピースマーチがコースとした新宿は、好天の土曜日とあって人出も多く、鮮やかなチベット国旗に足を止める人が続出。
すれ違う人たちからは「あっ、チベット。俺知ってる」「ダライラマの人たちだよね」などの会話も聞こえ、かなりの人が興味を持った様子でチラシを受け取っていた。

ピースマーチ終了後、解散点となった新宿中央公園内の「エコギャラリー新宿」で、TSNJ主催の交流会が開かれた。

昨年に続き2年連続の開催。約70人が参加した。
今回は、今年は西暦2月28日にあたったロサル(チベット新年)をテーマにチベット文化を知る試みも盛り込まれ、参加者は乾杯の代わりにチベット語で新年の挨拶を唱和。牧野氏、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の広報担当官に続き、世代や経験の異なるチベット人4人がそれぞれの体験を語った。最後は、チベットの民族楽器ダムニェンの演奏に合わせ、全員がチベットの踊りに挑戦して終了した。

チベットの民族楽器ダムニェンの伴奏でチベットの民謡「アマレホ」
チベット人たちの華麗なステップ

お疲れさまでした。