(2015年4月6日 法王庁)
地球環境の未来について考える「次世代のための環境シンポジウム」が東京都内で開かれ、ダライ・ラマ法王は、村上和雄・筑波大名誉教授ら3人の科学者と環境について話された。
遺伝子工学の第一人者である村上名誉教授は「世界の科学者がいくら集まっても、大腸菌ひとつさえ作りだせません」と自然と生命の奥深さを説明した。
「ひとりの人間は60兆個の細胞を持っています。天文学的な数の細胞が、臓器になり働いています。細胞にはお互いを支え、助ける仕組みが組み込まれているのです。細胞は見えますが、お互いを支える愛や思いやりといった心は目に見えない。本当に大切なものは見ることができないのかも知れません」(村上名誉教授・写真右)
会場を満員に埋めた1100人の聴衆は熱心に聴き入った。ダライ・ラマ法王は「自国だけのことよりも地球環境全体を考えなければなりません」と広い視野を持つことの重要性に触れ、「人間は本来、ネガティブなものを持っているからこそ、良い行いをして心の中をポジティブなもので満たしていくのです。世界を破壊するのではなく、生命の環境を創造することが必要です」と話された。
シンポジウムの最後、パネリストの新川眞氏(国際生態学センターコンサルタント)にカタを贈るダライ・ラマ法王。新川氏の福々しい頰を触り、いたずらっ子のような表情をされた。