2025年7月22日

ダラムサラ:チベットの宗教的遺跡に対する激しい攻撃の一環として、中国当局は先月、チベットの伝統的な地域であるカム地方のカンゼ(甘孜)チベット族自治州のドラクゴ県(中国語:炉霍県)で、300基以上の仏塔と崇拝されているグル像を破壊したと、当該地域で規制が強化されるなか、チベットの情報筋が報告した。
破壊は2025年5月下旬から6月にかけて、ジャンガン寺(འཇང་སྒང་དགོན་པ།)近くのルングラプ・ザンリ(ལུང་རབ་བཟང་རི།)で行われ、中国軍はチベット仏教の数百基の中型仏塔と3基の大型仏塔を破壊した。当局は、文化破壊という大胆な行為として、新築されたセルタル仏教学院の創設者故ケンポ・ジグメ・プンツォク僧院長の像と、グル・リンポチェ(チベット語で「尊き師」の意)として知られるグル・パドマサンバヴァの聖像も破壊した。こうした行為は、地域のチベット人とそのコミュニティに深い心の傷を残した。
情報統制と大量逮捕
破壊行為の後、中国当局はこの地域に鉄の沈黙のカーテンを敷いた。破壊に関する情報を共有または外部に話そうとする者は、「国家機密漏洩」の罪で即時拘留される。解体現場の周囲は完全に封鎖され、出入りは禁止されている。
中国官憲は皮肉にも破壊を正当化し、仏塔が「国有地」に建てられ、(不明瞭な)規則に違反していると主張している。神聖な建造物の石材砕片は撤去され、何世紀にもわたる信仰の象徴であったこれらの痕跡は完全に消し去られた。
組織的な文化の殲滅(せんめつ)
チベット内のチベット人たちが「第二の文化大革命」と呼ぶ、この最近の襲撃は、チベット仏教を「中国化」し、チベットの文化的アイデンティティを組織的に根絶しようとする計画的な運動を象徴している。中国によるチベット文化破壊の広範囲な戦略による一連の破壊行為は、宗教的慣習を強制的に中国共産党の政治課題に一致させることでチベット文化を抹殺する計画である。
「2024年12月1日に国家宗教事務局が発布した法令第22号では、2025年1月1日から、寺院管理規則第43条の施行により、すべての寺院は政府の厳格な管理下で運営しなければならないと定められており、取り締まりが激化している」と情報筋は述べた。
チベットの宗教指導者に対する恐怖統治
中国当局は、チベットの宗教指導者、学者、そして影響力のあるチベット指導者に対し、恐怖統治を行っている。中国政府による同化主義の「再教育」政策に従わないチベット人は、捏造された罪状による意図的な拘禁、長期の投獄、そして組織的な社会的排除が行われている。最も悪質な場合では、彼らは行方不明になったり、秘密裏に処刑されたりしている。
トゥルク・フンカル・ドルジェ氏は繰り返し尋問を受け、中国が擁立し押し付けたパンチェン・ラマの受け入れを拒否したこと、ダライ・ラマ法王の長寿祈願を作成したこと、アムド県ゴログでの教育活動において中国の政策に抵抗したという虚偽の告発を受けたことで迫害は激化した。ベトナムに潜伏を余儀なくされたドルジェ氏は、中国とベトナム当局による秘密合同作戦の結果、その後3月28日に、中国警察の拘置所で遺体となって発見された。透明性を求める国際的な要請にもかかわらず、両政府は沈黙を守り、情報統制と秘密裏の葬儀によって真実を隠蔽した。
新たな寺院規則の下、チベットのラマ僧、宗教指導者及び転生トゥルク(転生活仏)は、自由に宗教活動を行うことができない状況にある。一部の宗教指導者は自宅軟禁されている。組織的な弾圧は、チベット仏教徒コミュニティに恐怖と絶望の雰囲気を作り上げている。
取り締まりはドラクゴ県を越えて行われている。6月には、当局はカンゼ地域において取り壊しに関連して厳しい規制を敷いた。7月には、世界中がダライ・ラマ法王の90歳の誕生日とその教えを祝うなか、中国当局は2025年7月23日までカンゼ地域とその近隣地域におけるすべての集会を禁止した。
ルングラプ・ザンリの仏塔や仏像の建立に携わっていたジャンガン僧院のケンポ・テンガ(བསྟན་དགའ།)は、信者との会議を含む、移動と宗教活動を禁じられている。同様に、チベットのアムド地方の僧院では、ダライ・ラマ法王の生誕祝賀期間中、5人以上の僧侶が一緒に移動することを禁じられている。

破壊の傾向
この襲撃は、憂慮すべき傾向を辿っている。2021年11月、ドラクゴ県党書記のワンドンジン氏の命令により、当局はドラクゴ・ガデン・ナムゲル・リン寺院の学校を閉鎖した。12月12日には、寺院付近の巨大な仏像2体を破壊し、マニ車(祈りの回転式の仏具)45台を破壊した。
最近の破壊活動ではジャンガンのルングラブ・ザンリ寺院で数百の仏塔と聖像が一度の壊滅作戦で瓦礫と化しており、チベット仏教に対する中国の戦争の激化を表している。
情報抑圧は続いている
情報筋によると、中国当局による完全な通信の遮断により、状況に関する詳細な情報の入手は極めて困難となっており、チベットにおける文化破壊の目撃者を沈黙させようとする中国の組織的なキャンペーンを明確にしている。
この進行中の出来事は、中国によるチベットの宗教的・文化的アイデンティティに対する数十年にわたる攻撃の新たな章を示しており、中国政府はチベットの精神的遺産を消滅させようとする冷酷なキャンペーンを続けている。
– 国際連合、EU、人権事務局、チベット擁護課、情報・国際関係省(DIIR)による報告
(翻訳 Sakura Nakayama)