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米国、中国に対しチベットでの自制を要請

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(2008年3月16日 AP)

【ワシントン】15日土曜日、米国国務省は米国民に対してチベットへの渡航延期を勧告。ライス国務長官は中国に対し、チベットの抗議者に対する武力行使を抑制するよう要請した。

ライス国務長官は、「平和的にはじまった抗議行動がラサでの動乱に発展し、多くの命が失われているという結果に深い悲しみを覚える。暴力が続いていると思われる現状について、また、ラサ市内とラサ周辺で警察と軍が急激に増加している現状について懸念している」とし、「我々は中国政府に対して、チベット人の抗議者に対する武力行使を自制するよう要請するとともに、これに関わるすべての側に、暴力行為を自粛するよう強く求める」と述べた。

また、ライス国務長官は中国に対し、抗議行動を行なったとして収監されている僧侶やその他の人々を釈放するよう求めた。

ライス国務長官の声明は、中国軍の歩兵部隊と装甲車が土曜日にチベットの首都ラサを埋め尽くし、中国政府の支配に対する怒りを爆発させた抗議者が商店や車を燃やし、その1日後に厳しい外出禁止令が発令された後に発表された。ラサの西に位置するその他の都市でも、支援デモ行進を行なっていた数百人の僧侶と警察との衝突が発生している。

中国国営の新華社通信は、金曜日に少なくとも10人の民間人が焼死したと報じた。インドにあるダライ・ラマの亡命政府は、少なくとも30人、100人のチベット人が中国当局によって殺害された可能性もあると語っているが、正式な数を求める独自の確認はできていない。

「夜間禁止令の下、人々は室内にこもっている。ひと気のないラサのほぼすべての通りで、検問所に警察官が配備され、装甲兵員輸送車がガタガタ音を立てて走っている」と語る目撃者もいる。武力のショーともいえる武力の見せつけにより、市民は緊迫した静寂を強いられている。

ライス国務長官の声明にあわせて米国務省は勧告を発令し、「チベットにいるアメリカ人、特にラサにいる人たちはデモが行なわれている場所には近づかないこと」「ラサいる米国民はホテルなど安全な建物に避難し、できるかぎり室内に留まること」「この時期にチベットへ渡航しようとしている米国民は延期すること」を呼びかけた。

また、ラサにおいて発砲、暴動をはじめとする暴力行為が起きているとの米国民からの報告が中国の米国大使館にも届いていること、米国領事館員がこの地域への入域を許可されていないためアメリカ人の救援については限度がある可能性があることを伝えた。

「ブッシュ大統領は中国政府に対して、長年のチベット問題の解決を図るべく、ダライ・ラマと直接に、もしくはダライ・ラマの代表団を通じて実質的な対話を持つよう一貫して働きかけてきた。我々は中国に対し、すべての国民が政治や宗教に関して平和的に意思表明できる、人間としての根本的かつ普遍的な権利を持っていることを尊重するよう求めたい。また中国に対し、平和的に意思表現しただけの理由で拘束されている僧侶やその他の人々を釈放するよう求める。また我々は中国に対し、チベットの宗教、文化、生活を揺るがすことにより緊張を生んできたチベット地域における政策の見直しに全力で取り組むよう求める」と述べた。