2025年6月3日

ダラムサラ:東京で開催中の第9回チベットに関する世界国会議員会議の開会式において、チベット亡命政権第17期議会のドルマ・ツェリン・テイカン副議長が、ダライ・ラマ法王の特別メッセージを代読した。
法王は、各国から参加した議員らに向けて「民意を代表する皆さまのご支援は、私が特に重視しているものであり、私たちチベット人にとっても非常に重要な意味を持ちます」と敬意と感謝の意を表した。
また、「今日、世界は非常に困難な時代を迎えています。残念ながら、国家間、さらには一国内の対立する集団の間でさえ、問題や紛争を暴力によって解決しようとする動きに終わりが見えません。歴史が示しているように、暴力はさらなる暴力を生むだけです。だからこそ、私たちは和解と理解の精神のもと、対話を通じて問題や紛争を解決するために、力を合わせて努力しなければなりません。私たちチベット人は、非暴力と平和の道を貫きながら、チベット人の自由と尊厳を守るために、互いに受け入れ可能な解決策を追求していく所存です」と強調した。
法王はさらに、「チベット本土にいるチベット人の精神は、山のように揺るぎません。彼らのこの大義への献身は、真実と正義に根ざしており、強く、揺るがず、決意に満ちています。このことを中国の人々が理解してくれることを私は願っています。私たちの闘いは、独自の言語、深遠な哲学、豊かな文化を持つ民族による平和的な闘いです。チベット仏教は、理性と論理に基づいた完全な仏教の形であり、歴史あるインドのナーランダー大学から受け継がれた純粋な教えを保存・発展させてきた伝統です。その中心にあるのは、すべての存在の幸福と福祉を願う慈悲の心の育成です」と述べた。
声明は、また、中国の人々のあいだで仏教への関心が高まり、それが彼らの精神的遺産の不可欠な一部として再認識されていることを強調した。法王はまた、科学者たちが仏教の哲学や心理学に対する関与を深めている現状に触れ、これらの学問が現代の研究において有意義であることを高く評価している。
また、声明では、感情面と知性の両方を育む教育の重要性を強調し、学校における社会性と情動の学びの導入をはじめとする教育的取り組みを奨励してきた法王の真摯な貢献にも触れている。法王は、「より明るい未来を築くために、思いやりや誠実さといった人間的価値を、時間をかけて学校教育の主流カリキュラムに組み込んでいけることを願っている」と述べている。
最後に法王は、チベットの正義ある大義への揺るぎない支援に対し、すべての人々に感謝を述べ、「最終的に真実が勝利すると私は信じている」と結んだ。

(翻訳:YK)