2025年9月10日

ジュネーブ、2025年9月8日:国連人権理事会(UNHRC)第60回会期の開会にあたり、トゥルク高等弁務官は、人権が平和・正義・人間の尊厳の基盤であるにもかかわらず、世界的に前例のない脅威に直面していると警告した。
ウクライナ、スーダン、ミャンマー、コンゴ民主共和国、ガザの危機を例に挙げ、爆撃、拷問、性的暴力、強制移動、政治弾圧などの非道行為を厳しく非難した。さらに紛争地域以外でも、市民的空間の縮小、多国間主義の後退、少数派や女性、LGBTQ+コミュニティへの差別が拡大していると指摘した。一方で、条約批准や死刑廃止、地域における人権活動の進展は評価し、教育の強化と国際的な連帯行動の必要性を訴えた。
中国は最近、チベット自治区(TAR)設立60周年を祝賀し、経済成長やインフラ整備、近代化施策の成果を強調した。しかし、独立した観察者は、多くのチベット人が依然として深刻な社会的・文化的・政治的制約に直面していると報告している。
宗教の自由と文化表現は依然として制限されており、ダライ・ラマを讃える歌を歌ったアサンが拘束された例などがある。また、ゴンポ・チーは兄弟の長期拘束により自殺未遂に至り、ゴンジョ・トゥルク・パルデン・ワンギャル師が中国の拘置下で死亡するなど、チベットの活動家や宗教指導者が直面するリスクも浮き彫りになっている。
教育や言語政策も文化抑圧を強めており、チベットの子どもたちは若年で国営の寄宿制学校に入れられ、中国語教育が優先され、伝統文化が軽視されている。観察者は、これによりチベット文化の継承が脅かされ、若い世代の疎外感が増していると指摘している。
国連高等弁務官事務所とチベット事務局は、国際フォーラムでこれらの懸念を繰り返し表明しており、寺院の管理や子どもの強制同化、恣意的拘束、監視、平和的表現の犯罪化などが国際人権義務に反していると報告している。
第60回国連人権理事会会期の開会に際し、フォルカー・トゥルク高等弁務官は、国連人権高等弁務官事務所による中国との継続的な関与を再確認し、東トルキスタンのウイグル族をはじめとするイスラム系少数民族、そして同地域に居住するチベット人の権利保護に関して進展が見られない現状を指摘した。また、この問題が国連人権高等弁務官事務所の対話と監視活動における優先事項であり続けることを明言した。
演説の最後には、人権の普遍性と不可分性を再確認し、人権の保護はすべての人々の幸福にとって不可欠であることを強調した。さらに、これらの権利を守るために、新たな世界的な連帯と緊急の行動を呼びかけ、世界は重大な岐路に立っており、行動を起こさなければ平和と正義の基盤となる価値観が危うくなりかねないと警告した。会期開会にあたり、東トルキスタンのウイグル人およびその他のムスリム少数派、チベット人の権利保護に関して進展がない現状を指摘し、中国との対話と監視活動を引き続き優先する考えを示した。
最後に、トゥルク高等弁務官は人権の普遍性と不可分性を強調し、その保護が全人類の福祉に不可欠であると訴えた。世界に対して連帯と緊急行動を呼びかけ、無策では平和と正義の価値が危機にさらされると警告した。
— ジュネーブのチベット事務局による報告
(翻訳者:Yuki)