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栄養不良に苦しむチベットの子供たち

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2001年7月28日
ニューヨーク(ジャパンタイムズ)
セザール・シュララ

最近のチベット児童の健康に関する研究により、半分近くが栄養不良に苦しんでいることが明らかになった。そのため、彼らの成長は阻害され、精神的にもダメージを受けていると思われる。

中国政府の地域が経済的及び社会的に進歩してきているという主張とは裏腹に、チベットはいまだに世界で最も貧しい国々の一つで、一人あたりの収入は千ドル以下である。子供たちがこれ以上困難で未解決な政治状況の犠牲にならないことを確実にするためにも、新しい公共の保健及び社会政策が必要とされている。

1996年、アメリカを基盤とした私的共同事業体であるザ・ウェスタン・カンサシアム・フォー・パブリック・ヘルス(the Western Consortium for Public Health)によると、調査された子供たちの60%が一般的に認められている国際的な成長参考数値よりかなり低くなっており、チベットの子供たちの身長は重大な問題だとまとめている。彼らのデータは、子供たちの低身長は、先に言われていたような遺伝的もしくは高度を原因としたものではなく、栄養不足、誕生後3年間の慢性的栄養不良によるものだと指摘している。

慢性的な栄養不良により子供たちは腸管や気管支の炎症といった一般的な小児疾患に対してさらに弱くなり、これらはしばしば致死的なものとなる。加えて、慢性的栄養不良は子供たちの神経的及び精神的成長に影響を与える。中国政府は彼らがチベットの幼児の死亡率を下げたと得意に主張するが、その死亡率は依然として中国の平均よりもずっと高いものである。

ザ・ウェスタン・カンサシアム・フォー・パブリック・ヘルス(the Western Consortium for Public Health)の調査結果の要点は、チベットの保健問題の専門家であるナンシー・ハリス博士と、サンタクルツのザ・パブリック・ヘルス・インスティテュート(the Public Health Institute)、カリフォルニア大学バークレー校、そしてラサのチベット医学研究所(Tibet Medical Research)からの調査員による、より最近の研究によって裏付けられた。

7歳までの2078人のチベットの子供たちに対して行われた調査によると、成長阻害は栄養不良と結びついており、ほとんど骨と皮膚の疾患、髪の色素の不足、そして他の栄養不良に関連する疾患を伴っていた。調査対象の子供たちの67%が佝僂(くる)病、ほとんどの場合ビタミンD不足により起こる骨の病気、を患っていた。調査はチベット自治区(TAR)内、11の郡において、50の都市部、非都市部の集落の子供たちに対して実施された。子供たちの保健衛生状態は、貧困とほとんど設置されていない保健施設・基盤のためされに複雑な状況に置かれている。

「チベットの為の国際法曹家委員会」は、6歳程度の子供たちが家族と接触できない状況に置かれ、投打や電気ショック他の拷問によって罰せられるという困難な状況に拘束されているということを公表した。

北京(中国中央政府)で計画された教育政策は、チベットの子供たちのために十分な学校を創り、有能な教師を派遣するということに失敗した。同時に(中国中央政府は)チベット語を禁止し、差別的な行動をとっている。1995年には、チベット自治区の30%の子供たちが全く教育を受けていないという報告がある。1998年には農村部の非識字率は70%もの高さだとも報告されている。

すでに一部のチベットの子供たちに対する実践で大きな成果をもたらしているハリス博士のガイドラインに従うことで、子供たちの健康と栄養の状態に対してより大きい関心が持たれるべきである。それは佝僂(くる)病の教育と予防のプログラム、自生の高たんぱくである”トォマ”(”dorma”イモの一種)と呼ばれる根の活用、伝統的なチベット医薬への援助、そして健康管理のプログラムである。これらの方法は施設や保健サービスへのアクセスを強化することにより補われなければならない。それは貧困や非識字率を下げる政策も同様に、である。

チベットの子供たちは、あまりにも長い間不十分なケアと配慮の不足の犠牲となってきている。これ以上それを続けてはならない。

セザール・シュララ(Cesar Chelala)はニューヨークを基盤とした国際医療コンサルタントで特に国際関係、そして健康と人権問題に関して著述している。彼はPan American Health Organizationより出版されているChildren’s Health in the Americas を執筆した。