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最長服役のチベット人活動家、中国の刑務所から仮釈放される

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2002年4月5日
北京(AFP−時事通信 ジャパンタイムス)

仮釈放されたタナク・ジグメ・サンポ

牢獄で40年以上を過ごした、チベットの最長服役の政治囚が刑期より9年早く釈放したと、人権団体が発表した。

76歳のタナク・ジグメ・サンポ(以下、ジグメ・サンポ)は、1983年以来、連続して投獄されたラサの悪名高いダプチ刑務所から、3月31日、治療目的のため仮釈放となった、とロンドンに拠点を置くチベット・インフォメーション・ネットワーク(以下、TIN)は伝えている。ジグメ・サンポの海外で治療を受けたいという請願に中国当局は「同情し考慮した」と述べた、とTINは報告した。

しかし、米国に拠点を置く中国の囚人の為に活動している運動家のジョン・カムによれば、1965年以来獄中で32年を費やした元小学校教師のジグメ・サンポはチベットを発つ気はなく、チベットを発つのが条件で自由になることをはねつけていたという。

「初めは、彼ら中国当局はジグメ・サンポを海外で治療を受けさせたがっていた。しかし、ジグメ・サンポはそれを辞退した」
「3月31日、北京から来た上級役人のチームがジグメ・サンポにチベットでの治療のための仮釈放を与えた」
「中国の公的筋によると、ジグメ・サンポはこの仮釈放を喜んで受け、3月31日の昼、ラサにいる姪のもとへ行ったという」とジョン・カムは述べた。

4月2日、公式にチベット自治区ナンバー1として知られるダプチ刑務所の役人はコメントするのを拒否した。

「反革命的なプロパガンダを流布し扇動した」罪で1983年に有罪となったのが、ジグメ・サンポの最近の服役である。ジグメ・サンポの刑期は、1991年スイス代表団がダプチ刑務所を訪問した際に「フリーチベット!」と叫んだことなどを含め、−人権団体によればジグメ・サンポがその後、酷く殴られたのが目撃されたー、獄中での(中国に対して反抗的な)態度がもとで2度延長を受けた。

「数10年にわたる獄中生活さえも、チベットの権利を求めるジグメ・サンポの主張を変えることはできなかった」とジョン・カムは続けて言う。

「それについては問題外だ。彼の信念は非常に強固だ。出所がチベットを離れることを意味するなら出所はしないとジグメ・サンポは語っていたし、この発言でこの老獪な活動家であるジグメ・サンポが刑務所に既に戻ったことがあることが分かる。もし彼が刑務所にいたほうがもっと効果があると感じたなら出所しなかっただろう、彼ならそういうことはやりかねないと思う」

「中国当局は『厳しい監視』のもとにジグメ・サンポを置いているらしい」

「私は、ジグメ・サンポが自分の意見を変えていないこと、また姪の家や地域社会に閉じ込められながら、認識を深めていくだろうと確信している。彼は『矍鑠(かくしゃく)としていて』、精神的にしっかりしている」

「ジグメ・サンポは2011年9月まで釈放されることはない予定であったのだが、今回の釈放は、国際社会の圧力、—特に米国の圧力—が大いに関係していると思われる」とジョン・カムは述べた。

2月のブッシュ大統領の訪中の折、北京駐在のクラーク・ラッツ米国大使が苦境にある囚人たちについて話題に取り上げたが、ジグメ・サンポはそのうちのひとりであった。

ジグメ・サンポの件を追っている団体によると、ジグメ・サンポはチベット人に対する中国の扱いについてコメントを述べ、1965年から3年間にわたる最初の刑務所生活をおくることになった。1970年に、ジグメ・サンポは、10年の強制労働キャンプ送りを言い渡された。報告によれば、姪にチベットを避難するよう、さらに中国の悪政についてチベットの精神的指導者ダライ・ラマに報告したからだという。