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北京、反中国勢力の弾圧を再開

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2001年7月20日
北京(共同通信)

北京の指導部は、7月13日にオリンピック開催国の勝利を手にしてから1週間たらずで、政治的安定を阻む2つの重要課題−法輪功とチベットの独立主義者らに次の鉾先を向けた。

モスクワで行なわれた国際オリンピック委員会(IOC)最終投票日に最後の切り札として現れた李嵐清副総理は、帰国後すぐに、高勢力の政治団体と反法輪功を唱える団体の代表者らを率いて、反法輪功展覧会の除幕に加わった。この展覧会は北京軍事博物館で催されている。

ポスト江沢民との呼び声高い胡錦涛国家副主席は、「チベットの平和解放」50周年の祝典に出席し、国家団結のために分離主義者を撲滅させる必要がある、と国民に喚起を促している。

これに対して、ある匿名の政治アナリストは次のように発言した。「オリンピック開催国として人権問題にもっと熟慮するべきであるとの国際社会の問いかけに対して、北京が出した答えがこれだ。」

政府の抑圧を受けている中国のメディアは、オリンピック開催国の勝利を称える記事から一転、法輪功宗教組織の弾劾やチベットに関する記事を大々的に取り上げはじめた。法輪功は「邪悪なカルト」として禁止し、北京は健全なるチベットの結びつきをさらに強固にするべきだといった報道である。

国内の新聞やラジオ、テレビなどのメディアが特集を組み、強調したのが、「人生を破滅に導く邪説、法輪功」である。これらはいわば、法輪功の不正を暴きたてる類いの番組で、法輪功修練の結果、自分のキャリアや家族を放棄し、医学治療をも拒否した人々に関する報道特集であった。

ラサにおいてチベット記念行事を数々統轄してきた胡錦涛は、チベット共産党の事務官を務めていた80年代後半に、当局に対して抗議を唱えたチベット人が残忍な方法で鎮圧されるのを目の当りにしている。にもかかわらず、今月19日、政府メディアの報道によれば、胡錦涛はチベットに対して次のようなメッセージを述べたとのことである。

「共産党の指導の元でなければ、過去50年にわたり、チベットを大いなる真実へと導いてこれなかった。今日だけでなくこの先もチベットがその発展を謳歌できるのは、故国中国が信奉し、中国独自の社会主義の道を確固として突き進んできた結果である。」

IOCの投票に対して国際意見が不利に働くのを避けるために、中国当局は今週まで、法輪功とチベットに関する啓蒙宣伝活動をこれ程強めることはしなかったが、これらの活動を早期的に強化した背景には、オリンピック開催までの今後7年間で反中勢力を鎮圧するのに必要なためとの見方もある。

しかし、現中国政府に不満を持つ者にとっては、オリンピックによって国際メディアに当局の苦情を公表する絶好の機会が与えられたといえる。

オタワ・カールトン大学の中国政治学専門学者ジェレミー・パルティエール氏は、「彼らのターゲットや場所、日時などは明確になっており、中国が現況から一変して苦渋の状況に陥るのは容易である。もちろんこれらの行動に対して、中国当局は注意を怠らないはずだ。 万事に関して、監視の目がむしろ強まるだろう。しかし、反中勢力は、国際メディアの注目を味方につければ、公表事実が露呈することで、中国に対する国際批判が起こる可能性もある。」

また、パルティエール氏は、中国の、厳格な処置を講じて難問を解決しようとする衝動が、世界に対して「愛想のよいパンダ顔」を披露したいという欲望と相殺することを予測し、加えて、国際メディアの注目によって、中国政府による弾圧が和らぐ可能性もあると述べた。

米国シンクタンクの戦略予想部が世界情報に関して先週発表したところでは、中国は既に国内の「警備体制の抜本的構造見直し」をすすめ、2008年オリンピック開催に伴うデモ隊などの活動に備えている。これらの戦略には、より効果的で非軍事目的の機動隊を編成し、反中の暴動鎮圧に乗り出す訓練およびその装備などが含まれているとのことだ。