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元チベット人政治犯ナムキー氏が第17回ジュネーブ人権民主主義サミットで演説

2025年2月19日

チベット人活動家で元政治犯のナムキー氏、第17回ジュネーブ人権民主主義サミットにて。写真/ジュネーブ・サミット

ジュネーブ:人権と民主主義のための第17回ジュネーブ・サミット2025が、2025年2月18日にジュネーブ国際会議センター(CICG)で正式に開幕した。世界中の人権侵害に取り組む、この権威ある国際会議は、UNウォッチ事務局長ヒレル・ノイアー氏による歓迎のスピーチで始まった。開会の挨拶は、ワールド・リバティ・コングレス副会長で民主化運動指導者、作家、元チェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏が行った。

今年のサミットには、著名な講演者が一同に会し、ロシア、サウジアラビア、中国、ベラルーシ、香港、ウイグル地域、ベトナム、イランにおける人権侵害を取り上げた。 講演者の一人であり、チベット人活動家で元政治犯のナムキー氏は、中国当局に迫害を受けた時の恐ろしい体験について語った。

スピーチの前に、ナムキー氏が2015年に行った抗議行動の短いビデオクリップが上映され、彼女の活動とその結果直面することになった厳しい現実が視覚的な説得力を持って聴衆に迫った。「私は中国の軍隊が私の故郷とキルティ僧院でチベット人を弾圧する光景をこの目で見ました。私の心は悲しみと苦しさでいっぱいになり、その気持ちに突き動かされ、立ち上がって声を上げたのです」と彼女は語った。

2015年10月21日、ナムキー氏といとこのテンジン・ドルマ氏は、アバ県の殉教者広場で抗議活動を行い、ダライ・ラマ法王の大きな写真を掲げて法王のチベット帰還と祖国の解放を求めた。「抗議を始めて10分ほど経った頃、背後から大きな音が聞こえ、警官隊が私たちに駆け寄ってきました。 警官隊は私たちの手から写真をひったくり、私たちの口をふさぎ、地面に押さえつけ、最後に手錠をかけました」と彼女は当時を振り返った。

2人はアバ県拘置所に拘留され、その後深夜にマルカム拘置所に移送された。ナムキー氏が詳しく語ってくれたところによると、拘留中は下記のような残酷な拷問が行われていたという。

  • 睡眠を取らせず、65℃~70℃もの高熱に晒す。
  • 男性警官による平手打ち、足蹴、殴打などの身体的な暴力行為。
  • 尋問官による心理的操作。虚偽の証言をすれば罪を軽くすると言って、自白させようする。

一年以上の拘留を経た後の2016年11月23日、ナムキー氏といとこの裁判がトチュ(黒水県)人民法院で行われた。検察官は、刑を軽くする代わりに、犯した罪を懺悔するか、あるいは虚偽の殺人、窃盗、または麻薬取引の容疑を認めるよう迫ったが、2人はこれを拒否した。 当時ナムキー氏はまだ16歳であったが、中国当局は正式な年齢を18歳に改変し、「国家反逆」と「分離主義活動」への関与の罪状で懲役3年の判決を下した。

ナムキー氏は四川省女子刑務所の過酷な環境について以下のように語った。

  • 軍事教練を義務付けられ、中国の法律学習と「愛国教育」を強制される。
  • 人種による差別待遇が行われており、チベット人受刑者は互いに会話することを禁じられている。
  • 栄養状態は劣悪で、適切な医療を受けられず、極寒に晒される。
  • 強制労働。強烈な人工照明の下で銅線を組み立てる作業を続けたことにより、彼女は長期に渡って目の疾患に苦しむこととなった。

彼女のいとこであるテンジン・ドルマ氏はタバコ入れの製造に従事し、その後、腕時計の組み立て作業を行った。 2人は、2018年10月21日に刑期を終えた後、さらにアバ県のパドマ・ラタン派遣センターに一週間拘留された。家族は強制的に身元保証書に署名させられ、2人の名前は政府のブラックリストに加えられた。

「身体的には釈放されたものの、精神的には収監され続けていたも同然でした。」 釈放後も、絶え間ない監視、警察の尋問、行動制限が続いたことに触れ、ナムキー氏はこのように語った。「私はしょっちゅう警察署に呼び出され、携帯電話は没収され、どこに居て誰と会っているかについて定期的に報告しなければなりませんでした。このような辛い状況の中で、私の心には絶えず疑問が湧きおこっていました。国連はチベットの苦悩を知っているのだろうか?誰か私たちを助けてくれる人はいないのだろうか?」

こうしてナムキー氏は自分の体験を語ることを決意し、2023年5月13日、チベット人の窮状について率直に話すことができる国インドに亡命したのだった。

「私にこのような場を与えてくださって、ありがとうございます。もし誰かが、どこであっても、このような機会を提供してくださるなら、私は本当のチベットの現状をお話しします」と彼女は語った。そして、国際社会への力強いメッセージでスピーチを締めくくった。「これは私だけの身に起こったことではなく、何千人ものチベット人に起こっていることなのです。チベット内で暮らす何百万人ものチベット人が、今もこのような苦難の中にいるのです。ですから、どうか引き続きチベットを支援し、ダライ・ラマ法王のチベット帰還を見届けたいというチベット人の切なる願いを支えてください。」

人権と民主主義のためのジュネーブ・サミットは、緊急に対処しなくてはならない世界中の人権侵害に警鐘を鳴らすことを目的としている。25を超える人権団体がともに開催した第17回年次サミットには、ロシア、キューバ、イラン、香港、サウジアラビア、チベット、エリトリアなどの国から名だたる反体制派や活動家が集まった。サミットの主な目的は、このような勇気ある人々が語る真実を共有し、組織的な人権侵害についての認識を高め、民主的改革を提唱するための場を提供することである。 サミットは、 彼らの声を広く伝えることで、世界中の人権侵害に対処する国際的な支援や活動を盛んにすることを目標としている。

 –チベット亡命政権ジュネーブ事務所による報告

オリジナル記事


(翻訳:麻雪)