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中国政府 今年7月のダライ・ラマ代表使節団の非公式訪問を承諾

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(2004年6月18日 RFA(ラジオ・フリー・アジア)

(カトマンズ)RFAのチベット語放送によると、中国はチベットの精神的指導者ダライ・ラマの代表からなる使節団(5名)による非公式訪問が6月末か7月初旬に行われることを承諾したという。

前チベット亡命政権首席大臣で今回の代表団のリーダーとなるソナム・トプギャルはインタビューで、「中国政府は6月下旬か7月初旬の代表団による中国とチベット訪問を承認した」と発表した。またRFAのチベット語放送は、ダライ・ラマの特別使節ロディ・ギャリを含む代表団が今年10月にも訪問するとの情報を入手した。匿名の情報源によると、10月訪問予定の代表団のメンバーには、中国語に堪能なダライ・ラマ台湾代表部事務所のツェキャムも参加する予定だという。

「去年は10名からなる代表団を巡る話し合いがあったが、しばらくの間立ち消えになっていた。最近になって中国の職員から、10名からなる代表団訪問の準備を整えるのは複雑で困難との説明があった。従って5名であれば中国とチベットへの訪問が可能なのではないか」—ソナム・トプギャルダライ・ラマの実兄ギャロ・トンドゥプによって中国政府との調整が進められている今回の訪問は、今年6月下旬か7月上旬にも実現する見通しである。昨年9月にチベット側主導で進められた10名からなる代表団訪問を巡る交渉は数ヶ月間暗礁に乗り上げていた。

ダライ・ラマの使節が中国を2度訪問した昨年、9月のブッシュ大統領や高官らと会見した米国訪問を含め、数回に渡って大々的な海外訪問をダライ・ラマが行っていると中国は激怒した。中国政府はこうした訪問に対し公式に抗議し、アメリカはチベットを中国の一部と認め、チベットの独立を支援しないという約束を守るよう促した。

代表団は、チベット亡命政権会計監査委員長のアラク・ジグメ・リンポチェ、元亡命チベット人代表者議会議員でチベット文献図書館員のダクパ・ナムギャル、ネパールの亡命チベット人アムド・トンドゥップとティンレイ・パルジョルで構成される。ソナム・トプギャルは、「この訪問の主要な目的は、ダライ・ラマ法王の意にかなった対話を助長する環境を整えることであり、そのためには、出来るだけ多くの旧チベット政府役員や中国人と会うつもりである」と述べた。しかし、旅行日程の詳細はまだ中国政府との間で確定されていないと述べた。

「現時点では、訪問予定地については明確には言えない。しかし、出来るだけ多くの場所を訪れたいというのが我々の意向である。代表団メンバーの故郷を訪ねたいという希望もあるが、どこを実際に訪ねることが出来るかは分からない」—ソナム・トプギャル

1959年以降亡命中のダライ・ラマはチベット独立よりもチベット人の自治権の拡大を提唱しており、米国政府はそれに賛同している。ダライ・ラマは、最近の海外訪問中、母国チベットで起こっている「文化的虐殺」に対し、深い懸念を表明している。中国政府はこのようなダライ・ラマの活動を、他国をいわゆる分離独立運動のベースとして利用しようとするものであると非難した。ダライ・ラマには、1989年「完全自治」を求める非暴力的活動に対しノーベル平和賞が贈られている。