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ラサ・ジョカン寺に鉄柵!巡礼者の入場規制

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(2004年5月18日 TIN )

ラサのジョカン寺(大昭寺)で、本尊のある中庭を囲むようにほぼ1.8m高さの鉄柵が設置された。ジョカン寺の僧侶や地元住民の話によると、鉄柵はチベット人巡礼者の中庭への入場を管理することと、入場券を持たない旅行者が入場できないようにするためであるという。ジョカン寺の本尊は、「ジョオ・リンポチェ」として知られるチベットで最も神聖とされる「釈迦牟尼」像である。

ラサジョカン寺入り口にて

鉄柵のゲートには、中国語と英語で「入口」と表示されている。ジョカン寺には、毎日多くのチベット人や、中国国内や世界各地の仏教徒が巡礼に訪れる。しかし、仏教の祭日にはその数が大幅に増加する。特に太陰月の満月と新月の日には、多くの巡礼者が集まり混雑する。巡礼者は、「釈迦牟尼」の堂内で、長い行列をなして辛抱強く参拝の順番を待つ。また、巡礼者は行列で待つ間、寺院やお互いの迷惑にならないよう、秩序よく振る舞う。

鉄柵は、寺院中庭の西壁から約6メートルの距離を置いて、敷石にボルトで固定されている。ジョカン寺正面入口から中庭に入る部分に鉄柵の門が設置され、中国語と英語で「入口」と表示されている。鉄柵は、院の中庭の正面を囲み、1.5メートルの間をおいて南北の壁に沿って設置されており、裏の中庭外壁を少し行ったところまで続く。その裏の中庭外壁部分はチベット人巡礼者専用の入口となっている。おとな2人がようやく通れる程の幅である。

最近ラサを訪れた欧米の旅行者がTINに語った所によると、混雑する仏教の祭日には、正面入口と裏側2箇所の入口には、私服警官が配置されていたという。警官はチベット人であり、入場の手順に混乱や困惑したチベット巡礼者に説明することができる。正面入口の警官は、ジョカン寺の僧侶や入場券をもつ旅行者が(中庭への)入場する際に、その都度鍵を開閉している。チベット人巡礼者の一部は、混雑する2箇所のチベット人専用入口を避けて、正面入口から入場しよと試みていたという。しかし、警官は、わずかのチベット人を除いて、ほとんどの巡礼者を正面入口から入場させなかった。また、その旅行者によると、ジョカン寺の僧侶の一部は、中庭から出入りするたびに、警官がカギを開閉するために待たされることに不満を表していたという。ジョカン寺では、鉄柵の設置以外に、入場者管理や警備上の対策がとられた様子はない。その欧米人によると、チベット人は信仰深い巡礼者であり、サッカーのフーリガンや動物園の動物のように、窮屈な柵の後ろで行列をつくらされているのは見るに忍びないと語った。

ラサのジョカン寺の鉄柵と鉄柵門

ラサのジョカン寺の鉄柵と鉄柵門(写真)は、混雑時以外は開放され、警官も配置されていない。設置された時期については明確ではない。しかし、地元チベット人よると、鉄柵はチベットの新年であるロサー(今年は2月21日)の直前である2月上旬に設置されたらしい。

ジョカン寺とその本尊「釈迦牟尼像」は、チベットの文化と歴史において、重要な位置を占める。唐朝の皇女文成公主が、641年にチベット王ソンツァン・ガンポに嫁ぐ際に「釈迦牟尼」を持ってきた。歴史的には、もうひとりの妃のネパールの王女が、チベット王ソンツェン・ガンポ王の仏教改宗のきっかけとなったとされている。ジョカン寺は、文成公主と「釈迦牟尼像」のチベット来訪を記念して建立された。

チベット人のジョカン寺への入場は無料であるが、中国人(漢人)を含む旅行者は、入場料70元を支払わなければ中庭に入ることができない。意図的でないが、民族により入場の条件が変わってくる。また、チベット人以外の巡礼者は旅行者と見なされる。ジョカン寺への入場料金は、有名な北京の紫禁城の入場料60元を越えるものである。

地元のチベット人も僧侶も、鉄柵が法外に高額な入場料を徴収するのに役立っていることを認めている。また、多数のチベット人巡礼者の管理と貴重な寺院の保全のために鉄柵を設置するという公式説明にも理解を示している。しかし、何世紀にも渡り、多数のチベット人巡礼がジョカン寺を訪問しているにもかかわらず、このような対策が、この時期に導入された明確な理由は不明である。