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モン・タワンの人々によるダライ・ラマ法王の長寿祈願法要

2025年11月11日
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インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

今日、会場となるツクラカンの中庭は豪華な花々であふれていた。法王公邸の門からツクラカン階下にあるベランダの玉座まで吉祥模様の赤い絨毯が敷かれ、その上に花びらが蒔かれていた。中庭には、モンパの伝統衣装に身を包んだ約550名の人々が座っていた。

モン・タワンの人々による長寿祈願法要に出席するためツクラカン中庭に到着されたダライ・ラマ法王。2025年11月11日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

モン・タワンの人々による長寿祈願法要に出席するためツクラカン中庭に到着されたダライ・ラマ法王。2025年11月11日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

法王が門に到着されると、主催者であるモンパ全学生ユニオンとモンユル青年会のメンバーが代表の僧侶ガワン・ノルブ師に率いられて法王に挨拶をした。法王は、通路入口の花のアーチから広場中央まで歩まれ、法王のご長寿と幸福を願う人々に微笑みながら手を振られた。会衆は優しい歌声で法王を歓迎した。

法王が着席されると参加者にもお茶が振る舞われ、法王のために十六羅漢の偈頌に基づく長寿祈願文が唱えられた。ツォクと呼ばれる供物が捧げられると、法王はそれを一口取って召し上がった。続いて、経頭が法王に長寿祈願のマンダラ供養を捧げ、テンドゥン文化保存協会(Tendhon Cultural Preservation Society)会長で僧侶のガワン・ノルブ師もマンダラ供養と身口意の象徴を捧げた。

『不滅の歌』― 法王の二人の家庭教師によるダライ・ラマ法王長寿祈願 ― が唱えられる中、主催者のメンバーが法王の近くに進み出て加持を受け、その傍では供物を手にした人々の列が進み出ていた。

法王は聴衆に、次のように述べられた。
「私は先代ダライ・ラマの転生者として認定され、主にリン・リンポチェから学びつつ、他の方々からも教えを受けました。私はチベットのアムド地方に生まれましたが、困難な状況下でインドに辿り着いてからは世界中の様々な国を訪れ、人々から喜びをもって迎えられました。そして教えと衆生利益のために生涯の大半を費やしてきました。インドに来てからの日々、常に私は仏の教え、そしてチベットの人々のことをいつも心に留めています。また私はブッダガヤを始めとするインドの仏教聖地を巡り、チベットから来た仏教徒たちの利益に貢献していますが、いずれは中国の仏教徒たちに対してもそうできるだろうと感じています」

ツクラカンの中庭で行われた法王の長寿祈願法要にて、聴衆に語りかけるダライ・ラマ法王。2025年11月11日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

「私はずいぶん高齢になりましたが、とても健康ですので、教えを伝えることができます。真の意味で、仏教の教義を伝え、それを信じる人々に奉仕する機会に恵まれ続けています」

「チベット、ラサのノルブリンカ離宮を後にした時、私は教えと衆生のため、特にチベットの人々のために祈りました。ツァンポ川を渡った時は悲しい気持ちでいっぱいでしたが、渡し守たちが『今はラサを離れるかもしれませんが、悲しまないでください。チベットの宗教と政治のためになさった善行は、どこにいようと無駄にはなりません』と慰めてくれました。なんという心優しい人たちでしょう。私の心は元気を取り戻し、ついにインドに辿り着きました。その後、インド国内の様々な土地、さらには世界各地を訪れることになりましたが、私は常に純粋な動機を保ち続けてきました。どんな時も心を純粋な動機だけに集中させ、肉体的にできることはできる限り行いました。私が純粋な動機から逸脱することはありませんでした。肉体的な困難に直面することもありましたが、どんな場面でも努力をし、目の前の困難に勇気をもって立ち向かいました」

「旅のおかげで、私の名は広く知られることになりました。仏教の教えを伝えることで、大勢の人々に少しはお役に立てたと思っています。私は、懸命に努力をしてきましたが、これからもそうするつもりです。初めてインドに到着した時、人々は私を見て喜んでくれました。それは今も変わりません。どこに行っても、人々は私を見て喜んでくれます」

「モン・タワンの皆さんはここに来て、私のために心から長寿祈願をし、観音菩薩に願いをかけました。この祈願は私への信仰と信頼の証しです」

「私は朝起きてから夜眠りにつくまで、そして眠っている間も、“私を信じる人々に仏陀のご加持がありますように”と祈ります。このようにして私は、衆生と教えに利益があるよう、変わることなく祈り続けています」

長寿法要にて法王の言葉に耳を傾けるモン・タワンの人々。2025年11月11日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

「今日、皆さんが信仰に導かれてここに集まってくださいましたことに感謝します。私たちがここまで唱えてきた祈りに加え、観音菩薩、文殊菩薩、ターラー尊の真言を口伝したいと思います」

法王は、まず最初に、観音菩薩の祈願文を唱えられた。

美しく清らかな白きお身体は一点の汚れもなく
正等覚者仏陀の頭荘厳を戴き
慈悲の御心で衆生をご覧になる
観音菩薩に礼拝します

法王は、観音菩薩とチベットの人々の特別な絆について述べられると、聴衆に向かって、法王に続いて観音菩薩の真言 “オーム・マニ・ペーメ・フーム” を三回唱え、さらにこの真言を法王と一緒に数珠一周分唱えるよう言われた。

次に法王は、文殊菩薩の祈願文を唱えられた。

若きお姿を顕し
世界の闇を晴らす
偉大なる智慧の灯の光
文殊菩薩に礼拝します

「私たちには、他者を利益したいという純粋な動機があるかもしれません」と法王は述べられた。「しかし智慧に根差した洞察力がなければ、何が役に立ち、何が役立たないのかを本当の意味で知ることはできません。智慧があれば現実の意味を分析できます。慈悲が智慧と結びつくことは、自分にとっても他者にとっても、何よりも素晴らしいことです」

モン・タワンの人々による法王の長寿祈願法要の様子。2025年11月11日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

「私の場合、心が明晰なのは、私が文殊菩薩の真言を唱えてきたおかげだと思います。今でも、子供たちがやって来ると、私は彼らにこの真言を教えています。この真言を唱えると、分析的で明晰、迅速、深遠かつ論理的な智慧が得られます」

最後に法王は、ターラー尊は悟りを開いた者たちの徳行と八つの恐怖からの守護を体現している点において、他のどの本尊とも異なると述べられた。そして、法王の後に続いてターラー尊の真言を三度唱えるよう聴衆に言われた。

会長をはじめとする全モンパ学生ユニオン(All Monpa Students Union)から法王に、長寿祈願を受け入れてくださったことへの感謝のマンダラが供養された。続いて、一偈の長寿祈願と『真実の言葉の祈り』が唱えられた。

参加者全員が、法王の玉座に近づいて加持を受けるための列に並ぶ傍らで、様々な歌手が法王の長寿を願う感動的な歌を披露した。法王が公邸に戻られた後も人々は中庭にとどまり、喜びに満ちた祝賀の詩を歌い続けていた。

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