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モンゴル人グループ主催の法話会 2日

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目2024年4月20日
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インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

今朝、ダライ・ラマ法王がツクラカンに向かって歩かれる中、雲が晴れ、中庭に太陽の光が差し込んだ。人々は通路の両側に座り、合掌した手に白いカタ(儀礼用のシルクのスカーフ)を持って、法王を出迎えた。

ツクラカンで行われたダライ・ラマ法王による法話会2日目のはじめに、モンゴル語で『般若心経』を唱える在家信者たち。2024年4月20日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

6人のモンゴル人在家信者が法王の法座の前に座り、モンゴル語で『般若心経』を唱え、ツクラカンに座る多くのモンゴル人がその読経に加わった。

法王は参列者に向けて、次のように語られた。
「今日ここには、チベットとモンゴルの仏教徒、そして仏教の学びに関心のある他の国々の人々が集まっています。皆さんは、仏教が根拠に基づいており、世界の平和のみならず、心の平和にも影響するという発見に魅了されていることと思います」

「私自身、幼い頃から菩提心と空性の理解を育んできました。それらは、役に立ったと思いますし、私が学んだことを他の人々と分かち合えることがうれしいのです」

「ここにいる私たちチベット人は、祖国を失ったため、亡命生活を送っています。しかし、私たちがどこにいるかはそれほど重要ではありません。なぜなら、私たちはインドの偉大な導師、シャーンタラクシタ(寂護)がティソン・デツェン王の招きでチベットに赴き、そこで確立したナーランダー僧院の伝統に依拠しているからです。この伝統は、チベットとヒマラヤ地域全体に広がりました。たとえ状況が変わっても、私たちにはお互いに温かい心で接する習慣があります。これは、守り続ける価値のあるものです」

「チベット本土にいるチベット人は、シャーンタラクシタが伝えた伝統に従いたいと願い続けており、彼らは私に信頼を寄せてくれています。そして、チベット仏教とその本質である温かい心に関心を持つ人は、チベットだけでなく中国本土でも増え続けています。チベット仏教には、心と感情の働きに関する十分な見解が含まれており、それについて科学者たちからも高い関心を集めています。また他の人は、心を訓練し、自らの感情に取り組む方法について、チベット仏教からもっと学びたいと考えています」

「私は毎日、菩提心と空性について瞑想しているので、心が安らいでおり、夜はぐっすりと眠ることができます。真の平和は、私たちの心の内なる世界に見いだされるのです」

モンゴル人グループのリクエストによる法話会2日目に、参列者に向けて話をされるダライ・ラマ法王。2024年4月20日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

法王は、今回の法話の主な弟子たちはモンゴル人であり、チベット人とモンゴル人の間には、昔から特別な親近感があることを思い起こされ、また、多くのモンゴル人がチベットで学者になったと話された。法王にとっての哲学と弁証法の主な導師はグドゥップ・ツォクニ師というモンゴル人であり、法王はこの導師の優しさに今もとても感謝されており、他の人々、特にモンゴル人に教えを説くことで導師に恩返しができればうれしいと述べられた。

法王は、スピリチュアリティとは単に言葉だけの事ではなく、修行を積み、内なる良い資質を育む実践が必然的に伴うものだと考えておられる。また、仏教の僧侶や尼僧は、袈裟を身につけるだけでは十分ではなく、仏陀の教えを学び、それを自分自身の中に統合する必要があると法王は指摘された。

続けて法王は、次のように述べられた。
「法友の皆さん、私たちが今、学び、修行ができるのは、過去の導師たちによって受け継がれてきた伝統のおかげであることを覚えておいてください。中国共産党は仏教を破壊しようとしましたが、中国にいる多くの人々が仏教に関心を示しています。私たちチベット人は、仏陀の教えについて私たちが知っていることを、関心を示す中国人と分かち合うことの重要性について慎重に考える必要があります」

法王は菩提心について話し合いたいと伝えられ、次のように力説された。
「菩提心とはとても尊いものです。菩提心は心に平和をもたらし、他者を利益するための力強い方法です。菩提心を育むには、因と果の7段階の教えと、自分と他者を平等とみなし、自分と他者の立場を入れ替えて考えるというさらに強力な方法があります」

「すべての有情を思いやり、自分よりも他者を大切にする心を養うことは、心を変革し、自信と平和をもたらします」

法王は少しの間、このことについて瞑想するよう聴衆に勧められた。次に法王は、私たちは皆、明晰さと気づきという心の特性を持っており、その特性を他者の助けになるように使うことで、大きな効果をもたらすのだと指摘された。

ダライ・ラマ法王の法話会2日目に参加した、ツクラカンの中庭に座る6千人以上の聴衆たち。2024年4月20日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

さらに法王は、このように述べられた。
「人間である私たちは、人生の最初から母親によって育てられ、母は私たちの中に、優しさの種を植えてくれたのです。すべての有情、特にこの世界の人間のことを考え、母から授かった優しさの感覚をすべての有情に広げるよう想像してみてください。教えを守るために寺院や施設を建てることもできますが、究極的に最も重要なことは、自分たちよりも他者を大切にする思いを育むことです。そうすることで、私たちは安らかな人生を実現することができるのです」

「すべての人々は、私たちと同じように幸せになりたいと願っています。その点で、私たちは皆、同じです。だからこそ私たちは、誰に対しても温かい心で接する必要があります。他者を大切にすることは、すべての善き資質の源です。自分たちだけを大切にすることは、不幸の原因となります。私たちは、他者の優しさのおかげで生きていられるのですから、優しさと親切心を示すことが幸福へのシンプルな鍵なのです」

法王は聴衆に向けて、自分たちだけを大切にする欠点と、他者を大切にする利点について述べ、次のように助言された。すべての人間が幸せであれば、どんなに素晴らしいことでしょう。他者の幸せを願うことは、心に平和をもたらすものであり、他の人々を友達だと思うことである。あなたが私にできる最高の贈り物は、他者を利益したいと願う心を育むことである。

「モンゴルの法友の皆さん」と法王は話を続けられた。「修行とは単に祈りを捧げることだけではなく、心を変革し、善い心を育むことです。真言を唱えることは、善い心を育てることほど効果的ではありません。私が子供の頃、“オーム・マニ・ペーメ・フーム” を唱えることができるインコに出会いましたが、そのインコは真言の意味を理解してはいませんでした。私たちは、その鳥のようにはなりたくないでしょう。他者を利益するための真の道は、菩提心を起こすことです。あなたにできることは、頭頂に観音菩薩を観想し、真言を唱えながら、善い心を育むことができるよう観音菩薩に加持を求めることです」

「私たちチベット人は、いつでもできる限り真言を唱える習慣があります。しかし、真言を唱えながら、心が嫉妬の念にかられてさまようとしたら、それは全く役に立ちません」

次に法王は、三つの長寿の本尊の真言を伝授された。

無量寿仏 ― オーム・アマーラニ・ジーヴァーンティーイェー・スヴァーハー
白ターラー菩薩 ― オーム・タレ・トゥタレ・トゥレ・ママ・アユ・プネ・ヤナ・プシム・クル・スヴァーハー
尊勝仏頂仏母 ― オーム・ボロン・スヴァーハー・オーム・アムリッタ・アユダディ・スヴァーハー

次にラミン・ゲゲン師により、ツォンカパ大師像のお姿をとった仏陀の身・口・意の三つの象徴と銀の仏塔、貴重な経典が法王に捧げられた。

モンゴル人グループのリクエストによるダライ・ラマ法王の法話会2日目に、仏陀の身・口・意の三つの象徴を捧げるラミン・ゲゲン師。2024年4月20日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

ラミン・ゲゲン師により感謝のマンダラが捧げられ、次のように法王に伝えた。

モンゴルの信心深い人々全般、そしてラミン・ゲゲン家の歴代の人々に、法王の過去の化身、特に私たちにとっての仏陀である法王が注いでくださった優しさの本質、また私たちの祈りの強さゆえに法王がもたらしてくださった優しさは、たとえ全宇宙が七種の尊い品々で満たされ、捧げられたとしても、そのご恩に報いることは難しいでしょう。有情の幸福と仏法は、慈悲の大いなる宝である法王にかかっています。もしあなたの弟子でなければ何もかも失っていることでしょうから、私たちの眉間の目や胸の中心にある心のように、法王は私たちにとっての完璧な帰依の拠り処です。私たちの未来のすべての生において、法王以上の帰依の拠り処となる方はいらっしゃらないので、法王に熱く懇願いたします。

これからも、法王の途絶えることのない連続的な顕現を通して、どうかあなたの慈悲のかぎから私たちをお放しになりませんように。これが、私たちの心の中に長く留まっている唯一の願いです。

法王の大いなる慈悲の営みは、大海の波のように終わりがありません。このようなお願いをするのが難しいのは承知の上で、それでも熱く果敢にお願い申し上げます。

一片の石が金として扱われるように、法王は私たちに慈悲の心を注いでくださいました。法王の未来の転生においても、あなたが私たちの唯一の帰依の拠り処であり、功徳を積む最勝なる福田ふくでんであり続けますように。そして、僧として現れ、袈裟を身にまとい、波羅提木叉はらだいもくしゃ、菩薩、密教の3つの戒を守るあなたから決して離れることがありませんように。法王の原初の智慧の領域から、全知全能なるあなたによって、至高なる観音菩薩から離れることなく、慈悲深き観音菩薩に導かれますよう、これからもどうかお守りください。

ツクラカンで行われたダライ・ラマ法王の法話会2日目に、懇願書を読むラミン・ゲゲン師。2024年4月20日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

私たちの側からは、法王の卓越したご指導の下、ダライ・ラマ法王基金のご支援を受けながら、私たちの純粋で揺るぎない献身的な取り組みを守り続けることをお約束いたします。私たちは、法王に喜んでいただけるよう、従順に法王のご指示を実行いたします。私たちは、これまでも真摯に取り組んでまいりましたし、今後も変わることはありませんが、素直な気持ちで法王にお喜びいただけるよう、これからもあらゆる方法を用いて頑張ります。

壊れることのないダイヤモンドのように、揺るぎなく、どうぞ長生きしてください。

法王は静かにうなずいて微笑まれた。そして、参列者がツォンカパ大師への礼讃偈『ミクツェマ』の祈りを唱える中、法王は支援者たちに挨拶をして、ツクラカンを後にされ、法王公邸へと戻られた。