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チベット民族平和蜂起49周年における内閣の声明

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(2008年3月10日 チベット亡命政権内閣(カシャック))

自由を求めるチベットの人たちが平和蜂起を行ってから、本日、2008年3月10日で49周年になります。この日を迎えるに当たって、チベット人の理想のために雄々しくも命を捧げた男女たちに追悼の意を述べるとともに、今なお中国の抑圧に苦しめられているチベット人たちとの連帯を宣言したいと思います。同じく、チベット内外で暮らす、すべてのチベット人たちにもご挨拶をお送りいたします。

第13次内閣が出した過去の「3月10日声明」では、チベット人の現況、チベット亡命政権の組織、チベットの奮闘を長続きさせるための計画、チベット内外で暮らすチベット人たちがそれぞれに果たす役割、中国チベット間の対話の進捗状況、その他について言葉を尽くしてまいりました。

今回も、こういった内容について述べることになりますが、さらにまた、現在チベットで、わたしたちの宗教と文化を守り発展させていくため、平和的で合法的な活動を、誠実かつ真摯に進めている人たちを称えたいと思います。

僧侶であれ一般人であれ、老人であれ若者であれ、チベットで暮らすあらゆるチベット人は、大きな恐怖と、脅迫と疑惑の目に常に晒されています。共産党に加わっていたり官僚になっていたりするとこういった状況はさらに厳しくなりますが、しかしすべてのチベット人たちが、強い勇気とチベット魂と、そしてチベット問題解決という最終目標の下に、生きつづけています。

この驚嘆すべき姿勢を見るにつけ、亡命チベットコミュニティおよび内閣は、敬意とともに、このチベット魂が未来にわたって生きのこっていくであろうことを信じて疑いません。

さらに昨年、世界じゅうのいくつもの政府や国々が、法王への大きな信頼とチベット問題への関心から、チベット人を支援するための行動を数多く起こしてくださいました。チベット内外のすべてのチベット人に代わり、心から感謝の意を述べたいと思います。

お互いにとって有益な道を探るものとして、法王が描く中道の方針は、内外の大多数のチベット人たちの支持を受けながら、政策化されてきました。

この方針はさらに、亡命チベット議会によって満場一致の採択を受けました。そしてこの政策を基に中国政府との対話が継続中で、2002年から6回にわたる会談が行われてきました。会談を通じて、中国とチベット、双方の位置がはっきりとしてきつつあります。また、国際社会やチベットで暮らすチベット人たちにとっても、有益な会談となりました。

しかしながら、チベット問題の根本については、なんら具体的な結果は見られないままでいます。そのうえ、今日、チベット内の抑圧は激化し、法王を中傷するキャンペーンもひどくなってきました。事態がこういった不幸な方向に進んでいくのは、残念でなりません。

これまでの対話の中でわたしたちが中国政府に断固として訴えてきたのは、わたしたちが影で何も画策したりしていないということ、中国のひとつの政府の下でチベット人すべてに意義ある自治を保障する旨を中華人民共和国憲法にはっきりとうたい、チベット自治区の自治を実現すべきだという基本的な要求以外に、どんな問題も掲げたりしないということでした。そしてまた、わたしたちの要求は、中国で暮らすあらゆる少数民族の人たちが正当に有している権利と同等のものである点についても、はっきりとさせてきました。

この要求は、今日の現実を基にしたとき、チベットと中国双方の望みを満足させる唯一の道です。チベットの過去の歴史を基にどうこうしようとしている要求ではないのです。

歴史とは、修正することのできない過去のできごとの記録です。しかし、いかなる独立国あるいは自治地域も、過去におけるそれと同じ状態に留まりつづけることはできません。というより、留まりつづける理由もありません。たとえば、現在の中華人民共和国としての主権や領域は、1949年に先立つ何世紀かの歴史の間には決してなかったものです。

未来の展望を決めるのに歴史を用いたりすれば、非難合戦に陥るか言い訳を見つけることに終始してしまいます。これでは決して、現実には対応できません。わたしたちは、わたしたちの歴史観だけに基づいたチベット人の未来を描こうとする考えにかたくなにこだわったりはしていません。ですから、この問題に関してチベット人と中国人の見方にギャップがあるとしても、それは埋められないものではないと考えます。

そこに住む個々の少数民族のためになっているかどうかで、自治区の中身は決まってきます。つまり、すべてのチベット人が等しく尊重されなければならないということです。

チベット人同士が反目する理由もなければ、この件に関して歴史問題に固執する必要もありません。いってしまえば、もし過去の歴史を基にチベット人の未来を決めるのであれば、中道政策をとることもないのです。チベット問題と、法王の個人的問題は関係ありません。また、単に亡命チベット人の利益だけに関係することでもありません。この点は、世界じゅうが認めているところです。

現在、チベットで暮らすチベット人たちが満足から程遠い状況に置かれているのは、誰の目にも明らかです。だからこそ、すべてのチベット人の幸福のために、そしてチベット人のアイデンティティと言語と習慣と文化と伝統科学を守るために、法王と、チベット人ディアスポラ(亡命チベット人)たちは組織的に行動し、自由主義国に基盤を置きつつ、内外のチベット人たちのスポークスマンとして行動する責を負っているのです。

実際のところこれは、歴史的な責任を果たすことでもあります。たしかに、チベットの主権を云々することはないかもしれませんが、これまで述べてきたような理由から、チベット人も中国人も、チベットの人びとの福祉に関する重要な問題が存在しているという事実は、受けいれなければならないのです。

2002年に中国との直接対話が再開されてからも、チベットの状況は、何一つ改善されていません。それどころか、中国当局は、非人道的ともいえる振る舞いをつづけ、それは現在でも続いています。2006年以降チベットで抑圧と暴力が激化しているという事実に加え、ダライ・ラマ法王に根拠のない非難が浴びせられています。

なんの罪もないごく普通のチベットの人びと(特に僧侶や尼僧たち)が、「愛国的再教育」という名の下に、際限のない締め付けといやがらせに晒されています。中国政府は無神論を自称しているにもかかわらず、転生活仏を認定し公布することで、信仰の問題に干渉してきます。

中国政府はまた、ドゥルギャル宗(訳注:ダライ・ラマ法王の意見を無視して反社会的活動をしている新興宗教)の信者を、チベット人たちに分離をもたらす道具として利用しています。その上、非暴力と平和的方法を正直に表明する人たちに暴力をふるい監禁します。これこそまさに、チベット人と中国人との協力関係を根こそぎにする、分離主義的行動以外のなにものでもありません。調和と結束は、お互いの心を寄りあわせ信頼しあうことでしか、築きあげることはできないのです。無理に強要された結束が長続きしたためしは歴史上ひとつもなく、これから先もありえないでしょう。

中国チベット間の対話環境は、昨今チベットで進められている開発のせいで大きく損なわれています。中国政府は、最近の対話の進展に言及しその重要性を主張していますが、これは単なるうわべだけの言葉にすぎません。内外のチベット人たちがこの先も中道政策に留まるよう、チベット亡命政権にとっては非常に難しい舵取りを余儀なくされているのが現実です。

これまでの6回の対話の中で、中国政府は、法王の使節団が伝えた要求に対して明確な回答をしていません。その結果、中国側にはチベット問題を本気で解決しようという意思があるのかどうか、疑問が生じてきています。

しかしなお、現在中国主導のもとで行われている対話が、チベット問題のなんらかの解決につながるか否かにかかわらず、亡命政府内閣は中道のアプローチの方針を変えることはありません。内閣は断固とした決意をもって、中国政府との対話を今後とも引きつづき行っていくでしょう。

中国政府の異なる代表が、数多くのルートを通じて、さまざまなサインや素振りをほのめかしてきています。しかし、はっきりと明瞭な意思表示を公式なルートから受けとらないかぎり、どんなサインや素振りにも、対応することはできません。

ダライ・ラマ5世、ティチェン・ガワン・チョクデン、チャンキャ・ロペー・ドルジェ、ダライ・ラマ13世といった、かつて人びとの尊敬を集めた多くの精神的指導者たちの例にならい、ダライ・ラマ法王は、ドゥルギャル宗の懐柔に屈しないよう、ことあるごとにわたしたちに優しく忠告します。
has, therefore, expressed their views through a number of campaign activities that this matter must be resolved once and for all.

しかしながら、この問題に関して自分たちがとる立場を、いまだはっきりと表していないゲルク派の寺院も見られます。これは、ドゥルギャル宗の懐柔に与する人とそうでない人たちがひとつ屋根の下で生活をしているが故に生じた事態です。このため、智恵と智識を得た僧侶たちは派を超えて、こうした問題がきっぱりと解決されるよう、多くの運動を通じて意思を表明しています。

法王が先日南インドのモンドゴットを訪れた際、関係者すべての将来の利便を図るべく、僧侶の間で投票を行ってはどうかとゲルク派の寺院にすすめたのも、こうしたことがあったからです。

寺院の代表者たちは全員一致でこの案を支持しました。そして仏教の戒律にのっとり、サンガ(僧団)が投票を行う際に公式に用いるツルシンという棒でもって、投票を行いました。

その結果、三つの大寺院を含めたゲルク派の寺院のほとんどが、ドゥルギャル宗の信者たちとはきっぱりと距離を置くこととなったのです。内閣はこの決定を尊重するとともに、この先、すべての寺院が今回の決定を無視しないことを強く望みたいと思います。

今なお、ドゥルギャル宗の信仰を止めることができない僧侶が残っています。大きな寺院の一員として生きることができないのなら、どこかほかのところで生きる道を見つけるべきです。そちらの方向を進むのであれば、チベット政府は、ほかのすべてのチベット人に対するのと同じように、必要な支援の提供を惜しむものではありません。

これまで50年近くのあいだ、すべての亡命チベット人たちに、ほかにはありえない支援の手と居住地を提供してくださってきたインド政府およびインドの人たちに、心から感謝の意を述べたいと思います。

この感謝の気持ちは、インドにおける宗教や文化の分野で、亡命チベット人たちができるかぎりの貢献と支援を果たしていくことでしか表すことができないと考えます。あわせて、正義と平和を愛しチベット問題を助けてくださっている、世界じゅうの政府、世界じゅうの人たちにも同じく、この場を借りてお礼申し上げます。

最後に、ダライ・ラマ法王のご長寿とチベット問題の早期解決をお祈りいたします。内外のチベットの人びとが再び一緒になり、みんながともにその日を祝うときの近からんことを。

チベット亡命政権内閣(カシャック)