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チベット人によるビデオ証言、チベットからの持ち出しに成功

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(2009年8月30日 Phayul.com )

ダラムサラ:中国の支配に対して不利であり、ダライ・ラマ法王への忠誠心を表しているチベット人による証言ビデオが、中国の厳重な国境警備をくぐり抜けることに成功した。

甘粛省ケンロ(甘南)チベット族自治州、Sangchu郡のキツァン・ガデン・チョコールリン寺院の僧侶であるケルサン・ツルティム氏(キツァン・タミクとして友人に知られる)が国際社会やチベット民族に向けてのメッセージをカメラにおさめ、その余波を恐れることなくチベットから持ち出した。彼は、国際社会がチベットにおける人権侵害の被害者であるチベット民族を代表して迅速に対処するよう求めた。

チベット人権民主化センター(Tibetan Centre for Human Rights and Democracy: TCHRD)は、ウェブサイトで「2009年7月18日に撮影された証言ビデオの長さは約60分、関連ビデオ映像や写真を挿入するなどの編集を行いビデオCDの最終版を完成させた後、甘粛省、青海省、四川省の多くのチベット地区に広く配布された」と述べている。

ビデオCDをチベット人権民主化センターに持ち込んだ人物によると、ケルサン氏はエッセイや詩を書くのが非常に上手で、本も書いたことがあるという。

「ケルサン・ツルティム氏は、このビデオをチベット内で可能な限り広く行き渡らせ、中国政府によるプロパガンダに日々さらされている読み書きのできない人々や、一般のチベット人に情報を与えたいと願っています」とその人物は話す。

ケルサン・ツルティム氏のビデオ証言は、チベットにおける最近の出来事や中国政府の政策についても多く触れている。中国政府の政策は、発展という名の下に多くのチベット遊牧民を強制退去させた結果、彼らの遊牧的生活様式を完璧に変え、チベットの天然資源を絞りとり、チベットのはかない自然環境を破壊し、チベット民族を社会的にも経済的にも過小評価してきた。

ケルサン氏は、チベット内で絶え間ない恐怖や激しい弾圧の中で生活を送るチベット民族に代わって主張する倫理上の義務があるとして国連や国際社会に援助を求めた。

さらに、「中国憲法に明記されている民族区域自治法では、チベット民族を含む少数民族の基本的権利が保障されている。しかし、実際には我々の基本的権利は全く尊重されておらず、全く別のシナリオとなっている。チベットは中華人民共和国における単なる領土や地域として支配されているにも関わらず、中国政府が約束している調和のとれた社会を築くための方策はなに一つ講じられていない。」と中国の民族区域自治法を批判した。

チベット人権民主化センターはこのビデオメッセージについて、中国憲法や中国が署名したその他の重要な国際規約に明記されている表現の基本的自由および意見する権利の正当な行使であると述べた。また、ビデオの中で表明されている意見はケルサンのみならず、多くの人々の声であるとの見解を同センターは示している。

ビデオのコピーはチベット人権民主化センター(office@tchrd.org)に問い合わせることで入手が可能。


(翻訳:櫻木晴子)