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ダライ・ラマ語る、「中道が唯一の道だ」

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2001年5月25日
Aziz Haniffa India Abroad
Correspondent(ワシントン)

5月24日、ダライ・ラマは、「独立」ではなく、中国内における「チベットの真の自治」を要求していると述べた。

ダライ・ラマは、ジョン・ホプキンス大学国際研究学科での講演の冒頭で、「以前、ビル・クリントン前大統領は、50 年前の17ヶ条協定について、紙面上の自治でなく、真の自治を強要したものと言及した」と学生らにスピーチした。

「チベットの真の自治が実現すれば、チベット人は、教育、宗教、文化、環境への配慮、現地の経済等、すべての内政問題に責任を負う」
「中道アプローチによって、チベット人は、中国の外交や防衛に対する責任を受け入れ、中国の領土保全、中国が望んでいる安全保障と国際的な役割を保証する」 と語った。

ダライ・ラマは、当然、チベット人の心の中に、故国の独立を願う気持ちがあることを認めた。「私の中道アプローチについて、中国に譲歩しすぎていると考えるチベット人は多い。私は、彼らの懸念を理解しているが、中国の懸念も理解しなくてはならない」

「もし、中国のリーダーが、私や私の代理人と誠実な対話をするなら、私が唱えてきた中道アプローチは、チベット人にとって意にかなった解決を見つけることができ、人類への啓発的で積極的な貢献として、国際社会によって歓迎されるだろう」と、ダライ・ラマは予測した。

1959年以来、インドで亡命生活を送るチベットの精神的指導者ダライ・ラマは、この2日間にブッシュ大統領とパウエル国務長官と会談し、「私はアプローチの方法を決めていて、それは可能だと確信している」と納得させた。

「私のアプローチは、中国や中国人に最も利益となる方法だと賛同する中国の知識人階級も多い。」
「現状を見てもわかるように、私の努力や多くの中国とチベット双方の友人の努力にも関わらず、対話がまだ始まっていないのは、大変悲しいことだ」

ダライ・ラマは、「私は、中国の指導者たちと向き合って会談し、前提条件や偏見なしでひとりの人間として、話をする用意ができている」と繰り返し提案を述べた。

「歴史上、長い期間、チベット人と中国人は、友として、隣人として、たがいに暮らしてきたが、それは双方にとっても好都合なことであった」と過去の歴史について述べた。 「もう一度、私の考えに加わって親密な友情を築き、共に、問題解決の手腕や方法を共有し、互いに助け合おう」と中国の指導者たちに訴えた。

「相互の尊敬、あわれみの気持ちは世界平和への鍵」と題した講演の中で、ダライ・ラマは、こう述べた。

「チベットの平和的開放という名目で、いわゆる17ヶ条協定が強制された時でさえ、協力の為に考える余地があると信じていた」

「結局、その合意によって、中国はチベットの自治を明確に認め、チベット人が望まない制度を押し付けないと誓約した」

「しかし、中国当局がこれに違反し、チベット人に対し、あくまで中国人のイデオロギーを押し付け、我々の文化、宗教、生活様式を無視した」

「結局、チベット人は反乱を起こすことになり、チベット人を解放するため、私が信じる最良の場所へ亡命することになった」

「中国は、チベットを戦略上重要だと考えるかもしれない。しかし、チベット本来の役割を返還することで、ヒマラヤ境界の平和と平穏を確保し、南、東、中央アジアの競合を分断するアジアの中央高原地帯のアヒンサー【非暴力地帯】となり、我々は、中国の安全に最大限に貢献できるだろう」

演説冒頭で、ダライ・ラマは、インド、中国、台湾の国際的な大勢の学生を含んだ数百人の学生に向けて、中国や他国の名前をあげず、世界中の権威主義者や全体主義体制に強く訴えかけた。

「今日、地球上に全体主義体制が部分的に残る限り、世界全体に真の自由は決してありえないということは、ますます明白となっている」

「民主主義、自由な社会、人権の尊重、人間の平等といった価値感は、普遍的価値として世界中で認められている。しかし、一部の社会のリーダーが、世界的な風潮を退け続け、孤立したまま片隅に残っている」

「世界中の全地域で民主主義社会が成立することは、人類全体に価値のあるものと考える」と述べたが、これは、中国内で民主主義に賛成する勢力に向けてのメッセージを含まれると思われる。

「民主主義には、基本的人権を自己表現でき、市民にとっては、よりすばらしい将来性のあるものだ。このような基本的人権は、民主主義を強化する機会を与え、民主主義成立に拍車がかけるものだ」と主張した。

ダライ・ラマは、「最も重要なことは、民主主義が、世界平和や、完全な非武装化世界を達成し、確実なものにするための効果的な要素だということだ」と宣言した。