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オーストラリア国会、ダライ・ラマ法王のスピーチを妨害

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2002年1月31日
キャンベラ(ロイター)

亡命中であるチベットの精神的リーダー、ダライ・ラマ法王は、5月にオーストラリアを訪問する際、法王の政治的役割を承認しているといった誤解が生じる恐れがあるため、オーストラリア国会の中で話をすることを禁じられた。

ダライ・ラマ法王は5月24日にナショナル・プレス・クラブで演説することを予定 しているが、それに伴って大勢の聴衆が予想されるため、主催者側は国会の大講堂を提供するよう求めていた。

しかし、その依頼は外務大臣のアレクサンダー・ダウナー氏の事務所からの勧告に加え、オーストラリア政府のチベットは中国の一部であるとする見解により拒絶された。

「我々の勧告として、国会の内部でのダライ・ラマによる演説は、ある人々には承認という印象を与えるものであるとして解釈されるおそれがあり、これはオーストラリア政府側としては不適切であると考えている」
ダウナー氏のスポークスマンは木曜日、ロイターに対してこのように述べた。

「我々はダライ・ラマ法王が重要な精神的リーダーであると認識しているが、法王はある人々にはチベット亡命政権のリーダーとしてみなされており、それについてはオーストラリア政府は承認していない」

オーストラリア・チベット・カウンシルの執行部役員であるポール・ボーク氏は、その決定について、過度な防御であると説明している。

「国会議事堂は人々のものであり、オーストラリアの人々はダライ・ラマを非常に支持している。従って、法王が大講堂で話をするのは妥当であると思われる」とボーク氏はロイターに述べている。

「政府は人々の希望と合致した決定をすべきであり、今回の決定理由の背景である、中国側の感情を害するということに対して懸念すべきではない」

66歳のダライ・ラマ法王は、現在腸感染から回復しつつあり、少なくとも週末まではムンバイ病院に留まるものと予想されている。

ダウナー氏のスポークスマンは、ダライ・ラマ法王がオーストラリアを訪問する際、メルボルン、キャンベラ、シドニー各地で教えを説き、スピーチをする10日間の日程の中で、外務大臣が法王に会見するかどうか定かではないと述べた。

大統領のジョン・ハワード、そしてダウナー両氏は、ダライ・ラマ法王が最後にオーストラリアを訪問した1996年に法王と会見している。

ダライ・ラマ法王は、中国支配への抵抗に失敗した後、1959年に亡命し、以来ヒマラヤ山麓の丘にあるインドの町ダラムサラに住んでいる。 ダライ・ラマ法王は、中国の占領からチベットを解放するための非暴力による努力に対し、1989年にノーベル平和賞を受賞している。