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さらに多くの国々がチベットについて言及 ニュージーランドがチベットについて意見交換をするよう強く要請

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2002年4月9日
ジュネーブ

第58回国連人権委員会(以下、人権委)はついに、世界のいかなる地域でも人権侵害や基本的な自由が脅かされている問題に取り組む事項についての口頭による声明を聴聞するに至った。ここ2週間くらいまで人権委の業務は、中東情勢の討議と人権委の機密の手続きで影が薄くなっていた。

スペインのホアキン・ペレス-ヴィジャヌエーヴァ・イ・トヴァール大使は欧州連合(以下、EU)は、EUを代表して発言した。「EUは、チベットと新彊の少数民族に属する人々に対する激しい制圧について極めて憂慮している」

「テロリズムに対する闘いは、人権や基本的な自由の権利について十分尊重しつつ続けていかなければならない。しかし、それを少数民族に属する人の権利を拘束するための言い訳として使ってはならない」

EUの声明では、EUと中国の人権についての協議が大変重要であること、さらにこの協議が現地で進歩を見せ相当な成果をおさめることが期待されること、などがもりこまれた。EUのこの声明に賛同し名前を連ねた国は以下の通り:ブルガリア、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ラトヴィア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、キプロス、マルタ。

米国とオーストラリアの声明ではチベットが言及されなかったが、ニュージーランドとノルウェーの声明ではチベットにおける人権の状況についての懸念が表明された。ニュージーランドのオブザーバー代表のデボラ・ジール女史は、こう発言した。

「チベットに関して、ダライ・ラマと対話に入るよう、さらにチベット人の発展に関わる決定にもっと十分にかつ直接的にチベットの人々も関わっていけるよう、私たちは中国に強く要求する」

ノルウェーのオブザーバー代表のヨハン・ペーター・オプダールは、人権委に次のように述べた。

「ノルウェー政府は、チベット人の文化的及び宗教的アイデンティティーを守ることが大変重要であるととらえている」

米国は、中国の人権の状況についての記録文書がいまだ情報に乏しいとしている。米国のケヴィン・E・モレイ大使は、次のように述べた。

「中国政府は、人権についての協議でなされた約束事を守るべきなのに、守り通していない。数千人が自分の信条を述べただけで投獄されたままでいるなど、中国は信教の自由において特に制限を加えている国である」

カナダ代表団の団長であるマリー・ジェルヴェ−ヴィドリケール女史は、以下のように発言した。

「カナダは、特にチベットや新彊における表現の自由、集団の自由、報道及び信教の自由において制限を加えられていることに対し、粘り強く公平な立場にたって観察していくことに真剣に取り組んでいる」

オーストラリアのレス・ラック大使は、次のように述べた。

「オーストラリアは、人権についての中国・オーストラリア二国間協議が発展をみせたこと、中国が前向きなアプローチをとるようになったことに満足している。しかし同時に、中国が表現と集会の自由の権利をただ使っているだけのような個人やグループに対して司法制度を行使していることに憂慮している」

中国の沙祖康大使は、チベットと東トルキスタンにおける中国の政策を擁護するためのコメントをその声明の一部に割いた。チベットの人権状況について、沙祖康大使は以下のように述べた。

「現状では、チベットの人権の分野において急激な変化が起こっており…チベットの法制度が少数民族の地方の自治についての憲法や法律に応じてつくられることになっており、それはチベット人が自治、民主主義、人権、そして自由を実際十分に享受できるよう保証することを規定するものである」

チェコ共和国の首相兼外務大臣のヤン・カヴァン氏は、3月28日、ゲストスピーカーとして人権委に出席し、そのスピーチのなかで中国における聖職者や少数民族に対する制圧について重点を置いて述べた。ヤン・カヴァン氏は、そのスピーチの一部で中国のような国に焦点を置き、以下のように述べた。

「チェコ政府は、根本的に一党体制を公然とかたくなに守りながら、一方では(自国民が)政治の多様性を享受していると国際社会を説得しようとする、そうした国々の人権状況について懸念している」
さらに、その点を強調して続けた。
「そしてこうした国々は、国際社会が抱く正当ないかなる懸念にも内政干渉という札をつける。これらの国々は、民主的な反対運動を行った人たちや人権擁護者らが国家の転覆を図る活動に加担したとして犯罪者の烙印を押されている事実で、容易に特定できるはずだ…私たちは、ベラルーシのジャーナリストや中国の聖職者や少数民族に対する虐待をしばしば耳にする」

先週、チベット代表団はダプチ刑務所にいたことのある尼僧のチューイ・クサンとパサン・ラモが加わり、4月3日のチベット状況説明会でのスピーチ、さらに国連での記者会見にも出席した。尼僧たちは、拷問についての特別報告者として人権委の人権調査官と会見することができた。スイスは、尼僧たちのヨーロッパ訪問の最終地点であった。

4月4日、スイスの亡命チベット人社会は、およそ150人が出席している国連会場の外で徹夜のデモを行った。4月5日、チベット、東トルキスタン、法輪効から参加したスピーカーとともに「ヒューマンライツ・イン・チャイナ」が主催で記者会見が行われた。チベット亡命政権のチメー・リンジン・チョキャパ国連担当代表は、次のように言った。

「中国は他の国々と対等な関係で討議に応じなければならない。人権委に参加の幾つかの国々は中国における人権侵害についての話し合いをすることにしりごみしているようだ。国際社会を手助けするために人権侵害が起こらないようにすること、そのためには、選択したやり方でなく対等な関係で、人権侵害について話し合いをすることが大変重要なのだ。私は多くの外国政府が自由にそしてフランクに話をする勇気をもつよう希望する」

今年の人権委での中国(の人権侵害を糾弾する)決議案の提出に関していえば、4月3日の米国大使の弁によれば、国連は全てのEUの国々へ決議案のテキストを転送したものの一緒に人権委を後援しているEUの国々から肯定的な返事を受け取ることはできなかったという。決議案は、4月16日に行われる決議案投票に提出される前に3日間の検討作業を通過しなければならない。

「たとえ決議案が今年提出されなくても、私たちはチベット問題が今年の国連人権委員会で良い聴聞会を受けることができたと信じている。それは同様に大事なことだ」とチベット亡命政権のチメー・リンジン・チョキャパ国連担当代表は述べ、さらにこう付け加えた。

「私たちは、チベットについて言及した全ての外国政府、NGO、人権委の人権調査官に心から感謝している。中国への圧力は続く」