(2004年11月25日)
2001年6月30日、デンマークで「チベット対デンマーク領グリーンランド自治州」のサッカー親善試合が開かれた。チベットチームのイレブンは、インドで暮らすおよそ13万の亡命チベット人の代表選手だ。
この試合の実現には2つの大問題があった。その1つは、試合の位置づけをめぐる国際的な議論だ。チベットチームそしてデンマークの主催者団体は「これは国際試合」と主張。これに対し在デンマーク中国大使館は「チベットは中国の一部であり、今回のチベットチームはナショナルチームではなく、国際試合ともいえない」と主張、FIFAも同じ見解をとった。そのため、会場のスタジアムを管理する組織が、使用許可を与えるか否か会議を重ねる事態となった。
もうひとつの問題は、チベットチームのどん底ともいえる苦しい台所事情。チームは、亡命チベット人社会の中心地・インド北部の町ダラムサラに本拠を置いているが、練習場は正式のサッカー場の約半分の大きさしかなく、放牧された牛が練習中も横切るありさま。しかも、人数分の出入国ビザがなかなか取得できない事態が追い討ちをかける。
これは、チベットチームがさまざまな困難を乗り越え、ようやく実現したデンマークでの親善試合で、得点をあげるまでの人間ドラマを4か月にわたり取材したドキュメンタリーである。
[原 題] The Forbidden Team[制 作] デンマーク 2003年