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IOC、聖火リレーでの「反ダライ・ラマ」スピーチを調査

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(2008年6月25日 ロイター)

(北京)国際オリンピック委員会 (IOC)は、先週21日にラサで行われた北京オリンピック聖火リレーにおいて、チベットの張慶黎・共産党書記の行ったダライ・ラマを批判するスピーチの内容について調査している。

しかし、概して無力で政治不介入の方針を頑なに守っているIOCの対応は、すぐに明確になったわけではない。IOCは以前、各国の振る舞いについて「政治的指示はしない」としている。

IOC広報官ジゼル・デイヴィス女史は、北京五輪組織委員会 (BOCOG) に対し、張書記のスピーチの内容を提供するよう求めており、報道の通りであるとすれば「まことに遺憾」であると述べた。

強硬主義者である張書記は土曜、ラサの通りをめぐる2時間のオリンピック聖火パレードの最後を飾る式典において、3月の反中国暴動の状況についてコメントした。

張書記は、チベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマの伝統的座所であるポタラ宮の前で、
「変ることのないチベットの空に、五星紅旗は永遠に高くはためくだろう…。我々は必ずダライ・ラマ一派の分離主義的策略を打ち砕くことができるだろう」
と語った。

北京政府は3月14日のラサ暴動について、亡命中のチベットの精神的指導者ダライ・ラマとその信徒の責任を問い、ダライ・ラマはヒマラヤ地域を中国から分離しようと画策していると非難した。

中国はたびたびダライ・ラマを非難しているが、オリンピック関連イベントにおいては例外で、オリンピックを政治問題化する評論家を非難している。オリンピック憲章には 「全てのオリンピック開催地、その他の場所において」、いかなる示威行動や政治宣伝も許されない、と明記されている。

ダライ・ラマは暴動を指揮したことを否定し、中国のチベット人居住区における自治権と信教の自由を求めているだけであると述べ、信徒たちに北京オリンピックと聖火リレーを支持するよう呼びかけた。

中国のチベット情報局Webサイト(info.tibet.cnに掲載されている張書記のスピーチ内容からは、ダライ・ラマに関する部分が削除されている。

ラサの秦宜智・共産党書記もまた、土曜のラサでのリレー開会式においてダライ・ラマを批判し、「ダライ派の策略を打ち砕く」と語った。

中国はオリンピックに先立ち、聖火リレーにおいて近代的で活気にあふれた国であるというイメージを打ち出そうとしたが、チベット問題はそこに長い影を落とした。
3月の暴動は注目を集め、反中国行動や、ロンドン、パリ、サンフランシスコでの聖火リレーに対する抗議行動を引き起こし、醜態をさらしてIOCの注意を引いた。

バンクーバー・サン紙は水曜、ロンドン、バンクーバー、ソチで行われる予定だった北京パラリンピック聖火リレーが中止となったことを報じた。BOCOG広報官は中止について明言していないが、日本時間の25日16時「2008年北京パラリンピック聖火リレーの規模縮小」 についての記者会見が行われる。