2025年3月31日

ジュネーブ、2025年3月29日:3人の国連特別報告者が、共同声明を発表した。
報告者は次のとおり。人権擁護者の状況に関する特別報告者:メアリー・ローラー氏、清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する人権に関する特別報告者:アストリッド・プエンテス・リアン氏、意見と表現の自由の促進と保護に関する特別報告者:アイリーン・カーン氏。
3人は、チベット人環境活動家ツォンゴン・ツェリン(「ツォゴン・ツェリン」とも表記される)の召喚と尋問、およびンガバ(中国語:アバ・チベット族・羌[チャン]族自治区)県での砂の採掘に反対する活動を行ったために拘留されたことに対する懸念を表明した。
情報によると、「ツォンゴン氏は29歳の環境人権擁護者で、四川省ンガバ郡カホグ県ツァルマ村に住んでいる。同氏は環境保全の重要性を訴える活動をオンライン上でたびたび行っており、地元の環境のための清掃をボランティアで行う約50人のメンバーを擁する『環境保護グループ』のメンバーでもある。このグループは、地域社会で使い捨てプラスチックを禁止するいくつかの取り組みも始めている」と伝えられ、ツォンゴン氏は、安徽(あんき)省仙河建設エンジニアリング株式会社による砂の採取に抗議した後に逮捕された。この建設会社の活動は道路建設に直接関係しており、地元の河川を破壊し、住宅地に危険をもたらすなど、深刻な環境被害を引き起こしたと報告されている。
さらに、ツォンゴン氏は建設会社による環境破壊に関する動画をネット上で公開した後、2024年10月15日から17日まで取り調べを受けたと報告された。その後、10月18日から27日まで隔離されたあとに、家族には裁判を受けることが知らされた。特別報告者らは、すべての法廷出席者が事前に身分証明情報を提出することが義務付けられているため、裁判過程の公衆による監視が妨げられる可能性があると懸念を表明した。
昨年10月28日、キョンチュ県の裁判所は「社会秩序を乱した」罪でツォンゴン氏に禁固8カ月の判決を下した。ツォンゴン氏の現在の所在は不明で、ソーシャルメディアのアカウントは削除されている。
国連特別報告者たちは中国に対し、ツォンゴン氏が拘束された状況を明らかにし、罪状と法的手続きに関する詳細な情報を提供し、同氏が法的代理人や家族と接触できるようにするよう求めてきた。また、砂の採取プロジェクトが環境に与える影響と、地元住民から寄せられた懸念に対する政府の対応についての情報も求めている。
今回の国連による情報は、チベット人活動家に対する迫害に関して国連人権事務所が以前に表明した懸念に続くものである。特別報告者たちは、ツォンゴン氏の拘束は、環境擁護と表現の自由の行使に対する直接的な反応であると指摘した。彼らは中国当局に対し、さらなる人権侵害を防止するための措置を実施し、責任者の責任を追及するよう強く求めた。中国政府には、この声明が公表される前の60日以内に回答するよう要請された。
ジュネーブのチベット事務所は、国連特別報告者の介入を受け入れ、「この事件は、チベットの人権擁護者、特に環境のために発言する人々に対する継続的な嫌がらせの一つの例である。中国は、国際的な人権擁護の責任を果たし、ツォンゴン・ツェリン氏を直ちに釈放し、民族と環境のために平和的に立ち上がるチベット人活動家を標的にすることを止めなければならない。」と、ツォンゴン氏の不当拘束を強く非難した。
(翻訳:かおり)