インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ
ダライ・ラマ法王は、昨日発表された2022年のノーベル物理学賞の受賞者を称えて、次のような声明を出された。
「今年のノーベル物理学賞が、フランスのアラン・アスペ教授、米国のジョン・クラウザー博士、そして私の友人であるオーストリアのアントン・ツァイリンガー教授という3人の科学者に授与されたことを知り、大変嬉しく思っています。彼らの努力により、量子情報科学という新分野が切り拓かれ、量子コンピュータなどの技術の礎が築かれてきました。先駆者として研究に励んできた彼らを、私は心から称えたいと思います」
「およそ40年間にわたる科学者たちとの対話において、私は量子物理学に関連してツァイリンガー教授と有意義な対話を何度も行なってきました。私たちはここダラムサラで1997年に初めて出会い、翌年1998年には私がオーストリアへ行き、インスブルック大学の彼の研究室を訪問しました。その後は、ダラムサラで開催される『心と生命会議』の際に会って話をするようになりました」
「現代科学については、私も大いに敬意を寄せており、現代科学が現実について伝えねばならないことだけでなく、人間的価値にどのように影響を及ぼすかについても長年にわたって深く考え続けてきました。私は、今年のノーベル物理学賞が、人類全体に利益をもたらす可能性が極めて高い研究に取り組んできたアントン・ツァイリンガー教授とその仲間たちに授与されたことを心から嬉しく思っています」
法王は、これとは別にアントン・ツァイリンガー教授に宛てて書簡を書かれ、祝福の言葉とともに祈りを捧げられた。