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国連専門家ら、ダライ・ラマ後継者問題への中国の介入を警告し、行方不明のパンチェン・ラマに関する説明を要求

2025年9月15日

国連専門家らは、ダライ・ラマ後継者問題への中国の介入を警告し。行方不明のパンチェン・ラマに関する説明を要求した

2025年9月13日、ジュネーブ:国連の人権専門家グループは、中国が、ダライ・ラマ14世の後継者選定に干渉したとされる問題と、1995年にダライ・ラマが認定したパンチェン・ラマであるゲドゥン・チョキ・ニマ氏の数十年にわたる強制失踪について警鐘を鳴らした。

2025年7月15日付の北京への公式文書において、国連専門家5名は、チベット仏教の慣行、特に宗教指導者の転生に対して国家統制を主張する中国の法律と政策に「深刻な懸念」を表明した。

この文書は、2007年に制定された中国の「活仏転生管理に関する規定」と2017年の「宗教事務条例」に焦点を当てている。これらは、全ての転生に政府の承認を義務付け、国家の認可なしに精神的指導者を認定することを禁じている。

国連専門家は、こうした措置がチベット人の宗教・信仰の自由の権利を侵害し、国家が任命したダライ・ラマの後継者を「文化的・宗教的・共同体の真正性を欠いた存在」とする恐れがあると警告した。

専門家らは、これらの中国の法律が「差別の禁止、法の下での人として認められ差別なく平等に保護される権利、自由を恣意的に奪われない権利、思想・良心・宗教の自由の権利、意見及び表現の自由の権利、文化的生活への自由な参加の権利(自身の文化的生活に影響を及ぼす意思決定プロセスに寄与する権利を含む)」といった国際人権法規定に違反していると指摘した。これらは、中国が署名した世界人権宣言及び国際人権条約(“市民的及び政治的権利に関する国際規約”(ICCPR)、“経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約”(ICESCR)を含む)に則ったものである。

専門家らはまた、1995年5月にパンチェン・ラマ11世に任命された直後に家族と共に連れ去られたゲンドゥン・チューキ・ニマ氏(当時6歳)の行方について、明確な説明を求める声を改めて上げた。30年経った今も、ニマ氏の所在は不明のままである。北京当局が繰り返し「普通の生活を送っている」と主張しているにもかかわらず、国連はこれまでに“独立した検証”は行われていないと述べた。

専門家らは「この継続的な強制失踪は、国際法の下で、絶対的に禁止事項であるこの犯罪に対する強行規範(ユス・コーゲンス)に違反している」と書簡に記し、中国に対しニマ氏の健康状態、所在、安否に関する詳細な情報の提供を求めた。

この声明は、第14代ダライ・ラマ法王が90歳の誕生日を前に7月2日に発表した声明を受けてのものであり、法王の転生者を決定する権限はガンデン・ポタン信託財団のみが有することを改めて強調した。法王は「この件に干渉する権限を持つ者は他にいない」と明言された。

同日、ジュネーブの国連ビルにおいて、英国代表団と、他16カ国の代表団が共催したハイレベルなサイドイベントが開催され、チベット仏教徒が自らの宗教指導者を選ぶ権利について詳細に議論された。サイドイベントでは、パネリスト全員(サイモン・マンリー英国大使、宗教・信仰の自由担当特別大使を兼務するデイビッド・スミス英国下院議員、国連宗教・信仰の自由特別報告官ナジラ・ガネア氏、 ジュネーブ・チベット事務所代表ティンレイ・チュッキ氏、チベット系カナダ人人権活動家チミ・ラモ氏)が、チベット人の宗教的権利を制限する中国の法律が国際法に違反していると明確に指摘し、これらの法律の廃止を求めた。

ダライ・ラマ法王ジュネーブ事務所代表のティンレイ・チュッキ氏は、国連専門家による共同声明を歓迎し、「中国によるダライ・ラマ法王の後継者への介入は、チベットの宗教的自由とアイデンティティの核心を突くものである。国連専門家がこうした侵害を正しく指摘したように、世界は中国が任命したいかなる偽者もチベット人の目には一切の正当性を持たないことを認識すべきだ。パンチェン・ラマは30年間行方不明のままであり、これは彼の家族だけでなくチベット民族全体にとっての悲劇である。中国は責任を負わなければならない。チベット民族は干渉を受けることなく、自らの精神的な未来を決定する権利を認められなければならない」と述べた。

共同報告書は60日間の猶予期間を経て国連ウェブサイトに掲載され、文化権利特別報告者のアレクサンドラ・ザンタキ氏、強制失踪作業部会議長兼報告者のガブリエラ・チトロニ氏、意見及び表現の自由の権利促進及び保護に関する特別報告者のアイリーン・カーン氏、 少数民族問題特別報告者のニコラス・ルヴラ氏、信教の自由特別報告者のナジラ・ガネア氏が署名した。

報告書はこちらからご覧いただけます(英語版)。

オリジナル記事


(翻訳:かおり)