ニュース

ダライ・ラマ法王14世とその使命

中央チベット政権(CTA)は、ダライ・ラマ法王の90歳の誕生日を機に、その慈悲深いリーダーシップと生涯にわたる闘争、世界平和の促進に対する献身を称え、2025年を「慈悲の年」と宣言しました。チベット人と世界中のダライ・ラマ法王の友人たちは、平和、非暴力、人類の一体性という法王のメッセージを伝えるために、様々なイベントを開催しています。

日本では、ダライ・ラマ法王の90歳を祝う記念事業の一環として、桜の植樹と「ダライ・ラマ法王14世の生涯と使命 写真展」と題した写真展を開催します。桜を植えて、写真展を北海道から東京、京都、広島、沖縄まで、日本各地で開催する予定です。ダライ・ラマ法王が樹木の大切さについてしたためられた詩を集めた冊子も発行します。展示の詳細はカタログをご覧ください。ここでは簡単に、ダライ・ラマ法王の理念と哲学についてご紹介いたします。

チベットのダライ・ラマ法王は平和と慈悲、非暴力の使者として世界中で知られています。1989年には平和と慈悲、非暴力の促進に対する貢献と尽力により、ノーベル平和賞を受賞されました。法王は人類の一体性と地球共同体の概念、普遍的な責任について説いてこられました。この地球は動物、植物、そして環境を含む、私たち全てのものであると説かれました。私たちがこの惑星に存在する期間はせいぜい90年から100年と限られています。ですから、生きている間は、兄弟姉妹として共に幸せに暮らし、動物を含む他者の権利を尊重し、環境を守るために最善を尽くすべきということです。

植樹を予定している桜の木は、主に陽光桜です。これは、太平洋戦争に従軍せざるを得なかった教え子たちを偲んで、高岡正明師が作り出した特別な桜の木です。高岡氏は、彼らが再び桜の花となって帰還し、世界で人道、平和、そして非暴力の精神について伝えて、人々を鼓舞することを祈念しました。

ダライ・ラマ法王はこれまで、4つの誓約をされています。第一が、人間的価値を高めること、第二が、宗教的調和を促進することです。そして第三が、チベット文化の保存、第四が、古代インドのナーランダ僧院の教えの復興です。これらの誓約はすべて、永続的な世界の平和と調和、安定を促進し、実現することを目指す法王のご尽力を強調するものです。

人間的価値:平和な世界を実現するためには、一人ひとりが内面に平和と幸福を有することが非常に重要です。すべての人の中には善がありますが、執着、嫌悪、無知、プライド、嫉妬といった否定的な感情によって覆い隠されています。これらの否定的な感情は、道徳的に価値あるものを正しく理解し、それを実践することによって取り除くことができます。愛、慈悲、善なる心、利他といった人間的価値を高めることは、平和で慈悲深い社会にとって非常に重要です。私たちは幸福を望み、苦しみを嫌いますが、他の人たちもまた同じことを望んでいます。これは動物においても同じです。利他主義の概念を理解し、否定的な感情を減らすことで、親切心や思いやりが溢れる社会になり、それは最終的に、世界の平和と調和につながります。宗教を信じるか信じないかは人それぞれですが、私たちは皆、苦しみではなく幸福を求めています。そのためには、良き人間的価値観と道徳観が必要となります。

宗教的調和:主要な宗教はすべて、平和と寛容、許しという重要なメッセージを伝えています。宗教は善良な人間であることと、慈悲深い社会を実現することに対する大きな可能性を秘めています。憎悪と暴力のない世界を実現するために、すべての宗教にあるこの肯定的な性質に基づいて取り組む必要があります。残念ながら、信者の中の誤解や一部の狂信者による搾取は、宗教の共同体に大きな害を与え、宗教間の不和を生み出してきました。私たちは、自分たちの宗教が暴力や支配を支持していないことに気づかないまま、宗教の名の下に戦っています。多様な病気を治すために、様々な異なる薬が必要であるように、私たちも多様な願望や要求を満たすために、様々な異なる宗教を必要としています。ダライ・ラマ法王は多大な努力を払ってこられました。そして、より大きな宗教的調和と世界平和のために協力するよう、すべての宗教指導者に強く求めています。

チベット文化:チベット文化は慈悲深い文化であり、そこでは非暴力が重んじられ、利他の考え方に価値が置かれ、すべての生きとし生けるものの命が深く尊重されていると言われています。チベット語は仏教の科学、哲学、宗教の深遠な教えが詰まった言語であると考えられています。そのため、チベットの文化と言語の保存は、チベット人だけでなく、全人類にとって非常に重要なことです。ダライ・ラマ法王はチベット人、そして世界中の多くの仏教徒と非仏教徒の精神的指導者として、罪には打ち勝ち、罪人は許すという思想を支持し、思いやりのある文化を育んでおられます。

古代ナーランダ僧院の教え:インドは仏教を含む多くの宗教の源です。釈迦牟尼は約2500年前に仏教を説き、その宗教は中央アジアと東南アジアの国々に広まりました。仏教は様々な内外的要因により衰退しましたが、近年、発祥の地であるインドで人気が高まっていて、復興が見られます。5世紀に設立されたインドのナーランダ大学は、世界初の国際大学と言われていますが、仏教を宗教としてだけでなく、科学や哲学としても教えていました。多くの人は、仏教は宗教ではなく、心の科学であると信じています。ダライ・ラマ法王は、心について仏教が教えられることと比べると、西洋の心理学は子供に過ぎないと述べています。著名な科学者、アルバート・アインシュタインは、科学と共存できる宗教があるとすれば、それは仏教であると述べています。

したがって、ナーランダに古くから伝わる仏教の科学と哲学の伝統を復興することは、人類が心と相互依存の概念を理解する上で非常に重要です。それは実際に人々の絆を深めるでしょう。また、この地球が私たち皆のものであることや、私たちがここにいるのはほんの束の間であり、最終的に、私たちはそれを良い状態で子孫に受け継がなければならないということを気づかせてくれるでしょう。

戦争と暴力のない、平和で調和のとれた世界を希求するならば、ダライ・ラマ法王の4つの誓約、すなわち人間的価値の向上、宗教的調和の促進、チベット文化の保存、そして古代インドのナーランダ僧院の伝統の復興を、法王と共に実現する時が来ています。私たちは、陽光桜のメッセージが皆さんの心に花開き、ダライ・ラマ法王の人生が、人類の一体性と、私たちの存在が相互に依存しているという本質を多くの人々が認識する契機となることを、心から願っております。これは最終的に、戦争や暴力、憎しみのない地球共同体、ユートピアの世界を実現する助けとなるでしょう。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表 アリヤ・ツェワン・ギャルポ
20263月吉日


(翻訳:T.M)

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント