(2010年1月6日)
2010年1月6日、ブッダガヤを訪問中のダライ・ラマ法王は、昼の休憩に中国本土と台湾から訪れた400名と謁見されました。
「仏教の教えからすれば、中国人の皆様の方が先輩で、私たちは後輩です。私たちは後輩として、先輩の中国人の皆様を尊敬しております。
しかし、最近の世の中は、道徳的なやさしさや思いやりがないため、いろいろな問題が生じております。中国本土でもいろいろな問題があると聞きますが、これらは道徳心と正義がないからです。実際、このような問題に直面したとき、犠牲になるのは貧しい人々です。経済力と権力のある者は、多少の問題はあっても、なんとかやっていけると思います。しかし、やさしさと正義がなかったら人類にとってはマイナイスです。
われわれはどうしても、宗教を信じなければならないということではありません。宗教を持たなくとも、やさしさを追及し、それに向かって努力することもできます。私はいつもこう言います、『仏教の教えはいろいろな面から理由づけて説明することができます。』これは自分の経験に基づいて話しています。
いろいろな教義がある中で、科学者の中にも、特に仏教の教えに関心をしめしてくださる方がおられます。科学者で精神文化に関心のある方、そしてまた、仏教が脳科学ついて教えている内容について関心を持っている方もおられます。
中国人の皆様を例にとってみても、歴史上、仏教を信仰してこられました。例えば、中国の中にいろいろな宗教の寺院がありますが、その中で仏教の寺院が最も多いのです。マレーシア、シンガポールなど、中国人が住んでいる地域にも仏教の寺院があります。中国人と仏教の教えは深いつながりを持っているのです。仏教の教えは、われわれが先祖代々受け継いできたものです。この代々受け継がれてきた価値ある教えを守るべきです。この教義をどのようにして守るかと言いますと、教義を拝めるだけでは十分ではありません。仏教の教えを勉強し、勉強した内容を理解し、理解した内容を瞑想など実践をつうじて修行していかなければなりません。教えというものは、そのようにして守らなければ意味がありません。」と、ダライ・ラマ法王は中国人の信者400名にお話なさいました。