2001年12月4日
ニューヨーク
ステューデント・フォー・ア・フリー・チベット(SFT)が、中国の最大のアルミニウムメーカーであるチャルコ社の株式公開(IPO)に対する反対を表明した。株式公開はモーガン・スタンレー社の仲介で行われ、今日初値がつけられて12月11日にニューヨーク株式取引所で一般公開される。チャルコ社の主要アルミニウム精錬工場は、中国占領下チベットのジリン市(中国名:西寧)近くにある。チベット人と支援者たちは、この精錬会社の操業がチベット人とチベットの脆弱な生態系に破壊的な影響を及ぼしていることから、チャルコ社へのアメリカの投資に反対している。
オーストラリアの非政府系専門組織によるチャルコ社に関する環境調査で、中国政府が規定している同社プラントの廃棄物排出レヴェルは極端であることがわかった。青海のプラント近辺では、フッ化物に汚染された牧草を食べたために羊の歯が抜けて飼料を食べられず死に至る例が複数報告されている。羊の死によって、地元のチベット人牧羊者は生計を立てられなくなっている。
SFTのプロジェクトコーディネイターのラドン・テトンは、「中国のアルミニウム工場は、われわれの国を汚染し、われわれの同朋を貧困化しようとしている。チベット人に被害を与えないことを確認できるまで、モルガン・スタンレー社はチャルコ社の株式公開仲介を見合わせることを検討するべきだ」と語った。
占領下チベット地域の開発計画に外国資本を導入しようと躍起になっている中国政府は、現在「西進キャンペーン」に取り組んでいる。資源採取計画に外国資本を導入することで、支配困難な西部の支配強化を期待している。チベット人と支援者たちは、この開発計画は、チベットを資源採取用植民地にして中国人移住者をチベットに引き寄せ、結果的にチベット人の人口比率を少なくしようとする中国政府の目的に沿ったものだと指摘している。
「中国政府のチベット開発計画は、チベット人の生活を向上させるのではなく害するものだ。これは強制中絶、恣意的拘留、人口移転などの中国政府の策略と同じで、われわれチベット人とチベット文化、チベットの独自性を地球上から抹殺しようとする文化的大虐殺運動なのだ」とテトンは語った。
中国の国営石油会社ペトロチャイナ社は昨年、自社株のニューヨーク株式取引所上場計画を発表したが、SFTと、チベット人、人権団体、国家安全団体、環境保護団体、労働団体などが合同で、ペトロチャイナ社に対する広範囲な反対運動を開始した。これによって、同社の株価は初値100億ドルから28億9,000万ドルに下落した。
SFT草の根運動コーデイネイターのアルマ・デイヴィドは、「チベット人と支援者たちはチャルコ社の株式公開に反対します。またわれわれは、チベットの有害な開発計画に対して西側の資本投資を容易にしようとするモルガン・スタンレー社の役割を、憂慮しています。チベット問題は無視できないし、消滅することもないということを、必ず彼らに理解してもらいます」と語った。