2000年6月25日
北京(毎日新聞)
北京(毎日新聞)
25日付の中国各紙によると、中国の国政助言機関である人民政治協商会議全国委員会(全国政協)は24日、チベット仏教高位の活仏(生き仏)、アギャ師(49)を全国政協常務委員と委員の職務から任期半ばで解任した。関係筋によると、アギャ師は1998年11月に米国に渡ったまま帰国しておらず、最近の動静から反政府的姿勢が確認されたため解任されたとみられる。
アギャ師はチベット仏教最大宗派・ゲルク派の6大寺院の1つ、タール寺(青海省)の座主で、政府公認の中国仏教協会副会長も務めるなど中国政府寄りの重要な活仏とされてきた。青海省出身のモンゴル族で、1991年から全国政協委員、1998年3月に全国政協常務委員に選出された。
中国政府はインド亡命中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と激しく対立し、国内に残った高位の活仏をチベット宗教政策のかなめと位置付けている。今年1月にはチベット仏教カギュ派最高位の活仏、カルマパ17世が中国からインドに出国したばかり。さらに要職にあったアギャ師を解任せざるえない状況に追い込まれたことで、チベット政策への大きな打撃といえる。
アギャ師が渡米した理由は不明だが、今月13日に開かれた米下院外交委員会の公聴会で「(アギャ師が)中国政府の弾圧から逃れるため渡米した」と報告された。