(2010年4月17日)
地震発生の知らせを受けてすぐに声明で述べましたように、私は、青海省玉樹(ケグドゥ)チベット自治州で発生した大地震により多くの尊い命が失われ、多数の負傷者が出たことを深く悲しんでいます。
被災地と私がいる場所は物理的に遠く離れており、現在のところ、被災された方々を直接慰めることができませんが、彼らのために祈りを捧げていることだけでも知ってもらえたらと願っています。
私は、僧侶や若者をはじめとする個々人が、一瞬にしてすべてを失くした隣人の救援にあたってくれていることを称賛しています。
彼らを模範として思いやりの心が育まれ続けていくことを願っています。他者を助けるための無償の行為は、真に菩薩の教えの実践です。
また、中国指導部が被災地を訪問してくださったこと、とりわけ温家宝首相が被災地の慰問を自ら申し出られ、救援活動を指揮してくださったことに対し、称賛の意を表明します。被災直後にメディアが現地に入り、報道が行なわれたことにも感謝しています。
2008年に同様の大地震が四川省を襲った際には、中国中央政府と地方政府のリーダーは、メディアの立ち入りを許可し、さらには国際支援部隊が援助を行なうための道を拓くなど、多大な労を取って救援活動に取り組まれました。
そのような前向きな動きがあったことを称えるとともに、今回の地震においても同様の対策が取られるよう強く求めます。
亡命チベット人コミュニティは、救援のために最善を尽くす所存であり、早急に適切なルートを通じてこれが実現されるものと期待しています。
2年前に四川省が地震に襲われたとき、私は、被災地を慰問して被災された方々のために祈りを捧げることを望みましたが、残念ながらその望みはかないませんでした。
しかしながら昨年、台湾において台風による災害が発生したときには、現地を慰問し、亡くなった方々とご遺族のために祈りを捧げることができました。
苦難のなかにある方々を慰問できたことは幸いであり、有益であったと感じています。
今回の地震が発生した玉樹(ケグドゥ)は、図らずも、故パンチェン・ラマと私が生まれた青海省にあります。現地の人々の希望をかなえるという意味でも、私は、被災地を慰問したいと切に望んでいます。
最後になりましたが、 各国政府、国際支援団体に対し、被災者が壊滅的な被害から立ち上がれるよう支援の手を差しのべてくださいますようお願い申し上げます。
また、この地震の生存者に対しては、この災害はカルマの摂理として起きたものであることを認識し、逆境にあっても勇気と希望を持って失ったものの再建に向けて取り組み、この災難を前向きかつ建設的なものに転じていくよう呼びかけます。
重ねて、お亡くなりになられた方々のご冥福とすべての生存者の安寧を願い、祈りを捧げます。
ダライ・ラマ
2010年4月17日
(翻訳:小池美和)
連絡先:
ダライ・ラマ法王付き秘書官 Chhime R. Chhoekyapa
共同秘書官 Tenzin Taklha