2022年7月30日
インド、ラダック地方レー、シワツェル
今朝、ダライ・ラマ法王は、仏陀の慈悲の化身である観音菩薩の灌頂授与に先駆けて必要な前行儀式を執り行うため、7時前にシワツェルの法話会場に到着された。
法王は、会場に集まった推定7万人の参加者に向けて、次のように述べられた。
「観音菩薩はチベットやヒマラヤ地域の人々と特別なつながりを持つ仏様です。私は今から灌頂の授与に必要な前行修法を行いますので、皆さんは観音菩薩の六字真言である “オーム・マニ・ぺーメ・フーム” を唱えていてください」
「私がこのようなことを言うのはおこがましいと思われるかもしれませんが、私の身・口・意による行ないは観音菩薩の顕現とみなされることもあります。世界の伝統宗教はみな、“カルーナ(慈悲の心)” や思いやりの大切さを信徒たちに伝えており、自分だけでなく他の人々のために行動するよう導いています」
「実際、私たちは他者の幸せを考えて全力で取り組むならば、思いがけず自分の願いを実現できるものです」
出席者を代表してドゥクパ・カギュ派のトゥクセ・リンポチェが慣習に則って法王にマンダラを捧げると、続いて他の代表者たちも白い絹のスカーフ(カタ)を捧げた。次に、三つの意味を持つ『釈迦礼賛』の祈願文に続いて、『般若心経』が唱えられた。三つの意味とは、仏陀への礼拝、無常・無我・苦しみと廻向の三つである。
法王は、これから授与する観音菩薩の灌頂は、所作タントラ(クリヤー・タントラ)に属し、外面的な行いを浄化する力が高いことが特徴であると説明された。また、灌頂を授かる際には、あたたかい心を培い、一切有情の幸せのために意義ある人生を歩む決意を持つよう助言された。
本灌頂に先立って、法王は、会場に集まった参加者たちに菩提心を生起するよう呼びかけられた。
「究極の目標は悟りに至ることであり、悟りに至るには、方便の修行である菩提心と智慧の修行である空の理解を結び合わせなければなりません。私たちはこの二つの修行を心に培ってて、今世から来世へと悟りに至る道を進んでいく必要があるのです。私自身は、毎朝起きるとすぐに菩提心を生起して空を理解する智慧について考えるようにしています」
灌頂がすべて完了すると、法王は、会場で目の前に座っている人々も、世界各地でインターネットを介して参加している人々も、灌頂を授かった人はみな、観音菩薩の六字真言を1万回、あるいは毎日少なくとも数千回唱えるならば、心に安らぎがもたらされるでしょう、と述べられた。
儀式が終わりに近づくと、ティクセ・リンポチェによって法王に捧げる長寿祈願の儀式が進められた。ラダック地方のさまざまな組織や機関を代表して、大勢の人々が法王に供物を捧げるために列になって並んだ。また同時に、ラダック人の音楽団が法王への感謝の歌を捧げた。
ラダック寺院協会のアチャリヤ・スタンジン・ワンガイ会長をはじめ、数人の代表たちが感謝のマンダラを捧げて3日間にわたる法話会が完結した。