(2009年1月30日 Office of Tibet, London)
(ロンドン)温家宝首相がイギリスを訪問し、ゴードン・ブラウン首相と「相互経済協力の強化」について話し合いを持つ、という中国公式メディアの報道を受け、ロンドンのチベットオフィスは英首相に宛て、「チベットの人権問題」についても議論の機会を設けるよう書面を送った。
報道によれば、温首相は1月31日から2月2日までイギリスを訪問するという。
1月27日、英首相宛てにファックスで送られた書面の中で、北欧・ポーランド・バルト諸国におけるダライ・ラマ法王の代表であるツェリン・タシ氏は、「一時の経済的利益よりも、チベットと中国における人々の生活と権利をしかるべく優先し、道徳的に高い立場をとる」ことを要請した。
タシ氏はチベットの状況に深い憂慮を示し、特に「チベットにおけるチベット人に対する残酷な扱いをやめるよう、中国首相を効果的に説得」し、「チベット問題を解決するため、中国-チベット間の対話再開を奨励」するよう英首相に促した。
チベット ロンドンオフィスはまた、保守党党首デイヴィッド・キャメロン氏と自由民主党党首ニック・クレッグ氏に宛て、イギリスの道徳心と歴史的責任を踏まえ、チベット問題を取り上げるようにとの首相への要請に口添えするよう書面を送った。ブラウン首相の他、両党首もまた昨年5月に法王と面会し、チベット問題解決に向けた法王の中道的アプローチへの支持を表明している。
首相へ宛てた書面の中で、チベット問題超党派議員連盟のハリー・コーエン議長は、「中国政府とダライ・ラマ代表団の間で突発的に行われている対話において、明らかに進展を妨げる要因がある。それは中国側の誤りによるものである。中国はいかなる形の自治にも反対する強硬路線をとっているが、ご承知の通り、自治によってこの論争を解決することは、イギリス政府の方針である。公正な合意に至るために、温首相が中国-チベット間の対話を推進するよう促さなければならない」 と述べた。
チベット ロンドンオフィスはイギリス首脳陣への書面に続き、昨日カシャックから発表された、チベットにおける中国政府の”厳打”キャンペーン再開について訴える声明を、首脳陣やその他の関係者に送った。キャンペーンにはチベット人の異議を封じる目的があるとみられている。訴えは中国政府に対し、すぐに”厳打”キャンペーンを中止し、チベットに対する強硬路線をやめるよう要請し、世界中の議会や政府、個人にチベットのために積極的に声をあげるよう呼びかけている。
(翻訳:熊谷惠雲)