(2002年11月11日 AFP)
11月11日、中国は、日本政府の閣僚が亡命中のチベットの精神的指導者ダライ・ラマと会見したことが中国政府のチベット政策に対する攻撃だと憤りを表した。
「日本側は中国の反対を無視して、ダライ・ラマに日本へのトランジットを許可し、閣僚の米田健三氏との会談を公にした」と中国外務省は声明で発表した。さらに声明では次のように述べられている。
「これは中国のチベット政策に対する攻撃であり、内政干渉である。我々はこのことに強い不満の念を持つ」
さらにこの声明で、この会談について日本政府に釈明を求め、日本政府にこうしたことが今後起きないよう適切な措置を取るよう要求した。
その後、日本の政府関係者らはチベットが中国の「内政問題」であると強調した。
「どの国を訪問しようとも、中国はいつもダライ・ラマに対する懸念を表す」と外務省の竹内行夫事務次官は先日の定例会議で発言した。
「今回は日本が焦点となった」
竹内氏はさらに、日本政府が「日本の法律に則って」ダライ・ラマにトランジットビザを与えたことを中国政府にはっきり説明したと述べ、こう続けた。
「チベットについては中国の内政問題であると日本政府が既に見解していることを中国側に説明する」
11月9日、内閣府の米田健三副大臣と他二人の国会議員は、モンゴルに五日間滞在を終え亡命先のインドへの帰路日本へトランジットで立ち寄ったダライ・ラマに会見した。米田副大臣は、会見の席でチベットと仏教について意見を交わしたことを述べた。
「私たちの意見交換が中国に関連した問題に触れたとき、中国の法律にも認められている『チベットの完全な自治』を求めているとダライ・ラマは発言した」と米田副大臣はAFPに語った。
「しかし、ダライ・ラマはそれ以上触れなかった」
ダライ・ラマは米田副大臣に、中国との対話へ向けた基礎を築く努力をしていることを語ったという。
「ダライ・ラマはいつか将来に対話をスタートさせる希望を持って中国の高官たちと繋がりを発展させていると語った」と米田副大臣。米田副大臣はダライ・ラマと会見することで中国を刺激するかもしれないという懸念など無視した。その中国は、自分たちが「分裂主義者」と決め付けているダライ・ラマがどの国を訪問しようとも反対している。
「私は中国がこのことを大きな問題にするとは思わない。私は日本の国会議員で政府の一員だ。今回は議連メンバー(註)として訪問させていただいた」と米田副大臣。
11月8日から5日間に及んだダライ・ラマのモンゴル滞在中、モンゴルの首脳らは強力な隣国中国を恐れてダライ・ラマとの会見などを避けた。
中国外務省の声明ではこう述べられている。
「ダライ・ラマは政治亡命者であり、その袈裟の下で中国の分裂を企む活動に加担している」
(註)議連メンバー 「チベット問題を考える議員連盟」のメンバーのこと。民主党の牧野聖修衆議院議員、五十嵐文彦衆議院議員によって創設され、今年、超党派で連盟を新たに結成。現在47名の国会議員が加盟しており、チベット問題の研究や意見交換、チベットの人権回復を求める活動を国会議員レベルで行っている。