(2011年2月24日 インドアジア通信社(IANS))
チベット亡命政権当局によると米国大使ティモシーJ・レーマーはチベットの精神的指導者のダライ・ラマ法王と今週の木曜日、ダラムサラにて非公開の会談を開始した。
ダライ・ラマ法王と米国大使レーマーとの会談は午前10時頃ダライ・ラマの公邸で始まった、と当局は伝え、さらにダライ・ラマ法王の側近のみが会議に出席したことを付け加えた。しかし、チベットの首相サムドン・リンポチェを含む政権トップの高官は出席しなかった。
レーマーと妻のサリーは二日の旅程でダラムサラを訪問するため、当地に近いGaggal 空港に水曜日到着した。
ダライ・ラマ事務所の秘書チミー・チョーキャッパ はIANSに次のように語った。「すべては前向きだ。会議の結果も前向きなものになるだろう。もちろん彼らは以前にデリーでも一度会っている。」
ヒマチャル・プラデシュ地方政府が手配した日程のとおり、首都ニューデリーに駐在する米国大使はダライ・ラマ法王と話し合い、ダラムサラとその周辺に居住するチベット人亡命者の居住区をいくつか訪問してから、首都に戻る予定である。
ダライ・ラマ事務所はレーマーとの対談内容に対してはノーコメントだ。
ダライ・ラマ事務所の秘書テンジン・タクラはこう述べている。「談話の発表は予定していない。」
ダライ・ラマ事務所の高官によると、この訪問は米国政府とチベットの指導者達との周期的な交流の一環である。この目的はまた中国政府とダライ・ラマ法王の特命使節間の対話を促すものである。ダライ・ラマ事務所筋によると、会議でカルマパ17世の問題についての言及に関しては明言しなかった。
レーマーとダライ・ラマ法王との会談のわずか二日前に、カルマパ17世ウゲン・ティンレ・ドルジェがダライ・ラマ法王と彼の公邸で会談を開いた。この事実からその問題が話し合われているという憶測が生まれたわけである。1月28日警察は外貨とインド通貨合わせてほぼ7000万ルピー(1億5000万円)相当の出所不明金をカルマパ の僧院とギュトー・タントリック大学、そしてこの近くの僧院から発見した。
米国下院議長ナンシー・ペロシがダライ・ラマ法王に会いにこの町に来たのは2008年3月のことで、レーマーとダライ・ラマ法王のこの会談は、この町を訪れたアメリカの高官グループの3度目となる。ホワイトハウス参与バレリージャレットを団長とする高官グループが、ノーベル賞受賞者ダライ・ラマ法王と職員達に、米国政府がチベット問題の解決において助力し得る最善の方法を通知するためにダラムサラにやって来た。それから2年足らずの間にこの訪問も実現した。
ダライ・ラマ亡命政権を承認する国は皆無である。
ダライ・ラマ法王はチベットのため“高度な自治”を享受する中道のアプローチをすすめているが、そのため中国政府は彼を中国からチベットの分離独立を図る敵対分子だとみている。
約14万人のチベット人が亡命生活を送っている。そのうち10万人以上がインド各地に散らばって居住している。600万人以上のチベット人が本土に住んでいる。