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物議をかもすモーガン・スタンレーのアジアでのプロジェクト

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2002年3月19日

高まる消費者の懸念が株価への脅威に

地球の友 Friends of the Earth(FOE)
インターナショナル・リバー・ネットワーク(IRN)
フリー・チベット・キャンペーン(FTC)
ステューデント・フォー・ア・フリー・チベット(SFT)

モーガン・スタンレー年次総会
3月19日(火)11:30AM ロンドン、カナリー・ウォーフ、カボット・スクエア25番地

本日(3月19日)ロンドンにて開催される投資銀行モーガン・スタンレーの株主総会において、人権、環境保護の運動家たちは、モーガン・スタンレーの株主の価値が急速に脅かされているという点を強調することになろう。

モーガン・スタンレーに圧力を加えるため運動を展開しているのは、FOE、IRN、SFT、FTCである。これら4団体は、環境と社会に対しての危機管理に欠けるモーガン・スタンレーの企業方針—その方針こそがアジアにおいて最も物議をかもしているプロジェクトのいくつかに投資することを促した—を標的とするキャンペーンにかかわっている。モーガン・スタンレーが従事するプロジェクトには、中国の三峡ダム、チベットでの資源採収プロジェクト、インドネシアでの熱帯雨林破壊が含まれる。

モーガン・スタンレーは、中国開発銀行の債券、中華人民共和国の国債発行だけでなく、中国石油、中国アルミ業集団公司(Chalco)、APP(AsiaPulp&Paper)を含む中国とインドネシアの企業のIPO(新規公開株式)の引き受けもしている。こうした債権やIPOの引き受けを行うことによって、モーガン・スタンレーは、環境・社会に多大な影響を与え、また影響を被る側の人々との正式な話し合いもなしに進められている物議をかもすプロジェクトの主要な資金源となったのである。

これらのプロジェクトには、中国で激しい議論を巻き起こしている三峡ダムとチベットのゴルムド—ラサ間の鉄道建設が含まれている。こうしたプロジェクトの多くは、環境・社会の保全という問題をおざなりにしているため、世界銀行のような国際機関は関与を避けてきた。

三峡キャンペーン(IRN)のドリス・シェンは、「モーガン・スタンレーは、環境・社会問題を理由に他の企業があえて関与しないようなリスクに融資することで、新たな市場を切り開くつもりなのだろうか?消費者側の反動の高まりに対して準備はできているのだろうか?」と述べた。

フリー・チベット・キャンペーン(FTC)のディレクターであるアリソン・レイノルズは、「中国政府の西部開発計画は、大規模な自然資源採掘を中心とするもので、採掘と環境破壊によって、チベットの広大な地域を荒廃させるおそれがある。チベット人は、この計画についてまったく発言権をもたない。これらのプロジェクトを引き受けることにより、モーガン・スタンレーは、チベットに対する破壊活動と弾圧に資金面での援助をしていることになる。モーガン・スタンレーが、その融資が与える社会的・環境的影響力について調査するためになんの方策もとっていないとは信じがたいことである。モーガン・スタンレーは、この問題について詳細な説明をする時期を迎えている。さもなくば、今年起こった度重なる問題に加え、さらなる消費者側の反動というリスクを自ら招くことになるだろう」と述べている。

FOEのエド・マシューは、「モーガン・スタンレーは、APPに20億ドルもの融資をした。この融資は、地球上で最も豊かな、そして最も多彩な熱帯雨林地域のひとつの破壊に手を貸すことになった。その結果、モーガン・スタンレーは、法外なリスクを背負うことになったのである。この企業は、『森林政策』を実行し、膨大な森林破壊への融資をこれ以上続けないと確約すべきだ」と述べている。

株主総会ではっきり意見を述べた団体のメンバーたちは、株主たちにRogueTradersと いうレポートを提出する予定でいる。

そのレポートは、モーガン・スタンレーの行為が中国、チベット、インドネシアの何百万人もの人々にもたらす莫大な影響について詳細に述べ、社会・環境面での調査の規定化を含めたこの問題を改善する一歩を踏み出すよう会社側に圧力をかけるよう促すものである。そうした 団体はみな、環境を破壊し、政治的に非難すべきプロジェクトに資金面でかかわるモーガン・スタンレーに対し、人々の関心をひくためにキャンペーンを続けると言明している。

注:モーガン・スタンレーが直接かかわりをもつプロジェクトと企業は以下のとおり である。

三峡ダムプロジェクト:世界最大のダム・プロジェクトで、このプロジェクトのため、二百万人近くの人が立ち退きをすることになろう。プロジェクトの批判者やダムにより影響を被る側の人々は、抑圧され、人権を侵害されている。世界銀行と英国輸出信用保証局(ECGD)は、ダムの支援の延長を中止している。モーガン・スタンレーは、早くも来年にロンドン株式取引所にて三峡ダムのIPOを引き受ける予定でいる。

APP(Asia Pulp & Paper):FOEの調査によると、APPは、インドネシアで、生態学的にも多様な熱帯雨林を30万ヘクタールにもわたって破壊したという。そして、あらたに30万ヘクタールを破壊する計画があるという。またAPPは、地元コミュニティーと のいざこざにも巻き込まれている。サラワクでは、APPのプランテーションが、2万人もの地元のイバン族を追い出している。さらなる情報は、www.foe.co.ukに掲載されている。

中国アルミ業集団公司(Chalco):中国最大のアルミニウム会社は、チベットのアムド地方に巨大精錬所を持っており、地域の家畜や河川の汚染をひろげている。 ゴルムド−ラサ間の鉄道開設は、資源採掘と大量移民によりチベットの広大な地域を「開拓」し、かつては独立国だったチベットにおける中国政府の支配力の強化につながるおそれがある。

中国石油(Petro China):中国の石油会社のなかでは最初に株式上場した中国石油 は、チベットと東トルキスタンをまたぐ地域に石油とガスのパイプラインを建設している。これらの地域は共に中国政府からのひどい抑圧に苦しめられてきている。