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武装警官隊がチベット仏教尼僧院を略奪

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2001年8月21日
ITNニュース

数百人のチベット仏教尼僧と僧侶、仏教学者たちが、武装警官隊によって、中国西部の尼僧院と僧院施設から強制退去させられた。

ある監視団体によれば、警官隊は僧侶や尼僧たちの住居を破壊して、もどったら逮捕すると脅した。

チベット・インフォメーション・ネットワークが伝えるところでは、チベットの東に接する中国四川省のセルタル仏教施設と尼僧院から強制退去させられた人々の何人かは、彼らの精神的指導者であるダライ・ラマを弾劾する文書に署名するように強制されたということである。

ロンドンに本部を置く同ネットワークは、この強制退去を、四川省行政部と北京の中央政府からの命令による、セルタル僧院の組織的解体の一部であるとした。

理由は明らかにされなかったが、中国政府はしばしば、チベット仏教の中心施設を、51年間にわたる中国のチベット支配に対する反対運動の温床となり得るとみなしている。

チベット・インフォメーション・ネットワークもインドのチベット亡命政権も、この僧院は、政治活動とはまったく関わりがないと述べた。

チベット・インフォメーション・ネットワークのホームページでは、破壊跡の写真を公開して、セルタル僧院の破壊された住居であるとした。

尼僧院と仏教施設があるシダ(Sida)郡の警察署は、問い合わせに答えることを拒否したが、隣接するカンゼ郡の警官である高氏は、尼僧と僧侶たちがシダ郡を強制退去させられていると聞いたと語った。高氏によると、カンゼ郡ではそのような強制退去は行われていないということである。

同ネットワークは、現在亡命中の僧から得た情報として、多数の僧侶、尼僧たちが、非常に落胆して、退去するよりは自殺すると脅したと述べた。

同ネットワークによると、強制退去は10月までに完了する予定であるということである。

6月中旬以来、千以上の住居が破壊されたという。

施設に至る道路は封鎖され、現場は強制退去が始まる前に立ち入り禁止になっていたことも同ネットワークによって伝えられた。

インドのダラムサラのダライ・ラマ亡命政府が語ったところでは、6月に、この施設を統率する僧侶のケンポ・ジグメ・プンツォク師68歳が拘留されて、何人かの強制退去が行われた。

この時、ダライ・ラマ法王のスポークスマンは、プンツォク師は政治活動には何ら関与していないので、このような措置は「きわめて奇妙である」と述べた。

チベット亡命政権は、この強制退去は、セルタル僧院の尼僧と僧たちが多様な民族から成ることと関係があると見ており、中国政府は、さらに多数の中国国民がチベット仏教の影響を受ける可能性があることを恐れているとしている。

インドのダライ・ラマ亡命政府の職員たちによれば、中国の近隣13地区の役人たちが今年の春僧院を訪れて、人口を1500人に減らすように命令したということである。

役人たちは、北京の中央政府と四川省行政府の命令に従って行動していると主張した。

この行動は江沢民総主席の命令によったものであると、ダライ・ラマ法王の声明は述べた。

チベット・インフォメーション・ネットワークは、プンツォク師は病気であり、強制退去と、彼の協力を取りつけようとする中国政府の圧力のために衰弱していると述べた。師の所在は現在不明である。

プンツォク師は1980年に、正式な僧院としてではなく私的な草庵として施設を創設したのだが、僧侶と尼僧がやって来て自分たちの住居を建てたので、数千人の僧たちの住まいとなったのである。

ダライ・ラマ法王は、中国支配に対する蜂起失敗後チベットを逃れた翌年の1960年に、チベット亡命政権を創設した。

中国軍は1950年にチベットを占領したが、この地域は数世紀にわたって中国領土の一部であったと主張してのことであった。