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欧州歴訪 江沢民主席の行く先々に出没

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1999年10月27日
産経新聞
魏京生氏

欧州を歴訪中の中国の江沢民国家主席を、行く先々で待ち受ける抗議デモの先頭に、在米の著名な民主化活動家、魏京生氏(49/写真右)が立っている。江沢民主席が訪れた英仏両国の政府は「人権」よりも「経済」を重視してか、魏氏のゲリラ活動に神経をピリピリさせている。江主席は26日、次の訪問国ポルトガルへ。魏氏はどこまで“追っかけ”るのか—。

魏京生氏らは、10月18日夕に江沢民主席がロンドンのホテルに到着するや、早速、気勢を上げて、抗議行動の幕を開けている。

翌19日は、エリザベス英女王と江主席が乗った馬車が女王の“居城”、バッキンガム宮殿に向かうのを待ち構えた。中国語で「すべての政治犯の釈放を」と書かれた垂れ幕を上着から取り出そうとして、警官2人に取り押さえられ、そのまま馬車を見送った。

翌日、今度は1000年記を記念してテムズ川沿いに建設中のミレニアム・ドーム前。たまたま眼前を江主席が乗った車が徐行、そのとき、魏氏は江主席と目が合ったという。「笑顔が凍りついていたよ」、と魏氏は英紙に語っている。

さらに21日には、英中首脳会談が行われた英首相官邸に押しかけ、正門前からブレア首相に抗議の書簡を手渡そうとして、またもや警察に阻止された。

抗議行動の合間を縫って欧米マスコミの取材にも積極的に応じ、CNNに対しては、「民主国家とは思えない」と、英警察の過剰警備に非難も浴びせた。

江主席がフランスへ向かうと、魏氏もドーバー海峡を越えてその後を追う。

22日、リヨンに到着して歓迎式典会場の市役所に入ろうとした江主席に、向かいの雑誌社のビルの窓から、拡声器で民主主義のスローガンを訴えた。

魏氏はその後も、パリのバスチーユ広場で行われた抗議集会に参加するなど、精力的な追跡を続けている。

今回、英国での魏氏の活動を支援したのは、ロンドンに本部を置く「民主中国連合」と「フリーチベット運動」の2つの団体だ。「民主中国連合」の幹部は、「英国の政治家とマスコミに、中国での人権抑圧の深刻な状況について知ってもらうと同時に、江沢民主席にわれわれのメッセージを届けるという2つの目的は達せられた」と、抗議行動の成功を強調する。

その一方で、英国での報道が英警察の過剰警備に偏り過ぎて、中国の人権抑圧批判からずれてしまったことは、魏氏には期待外れだったようだとも言う。

魏京生氏は1978年の民主化運動、「北京の春」で活動して1979年に逮捕され、反革命扇動罪などで懲役15年の判決を受け、服役後1993年に仮釈放された。1995年には、政府転覆陰謀罪で再び懲役14年の判決を受けたものの、1997年11月、「海外での病気治療」を理由に米国への出国が認められた。現在、ニューヨークを拠点として、世界各地を飛び回っている。

英紙インディペンデントは、「帰国する日は近いのだから」と、米国でも英語の習得を拒否する魏氏を「楽観主義者」と評した。中国を離れた活動家は影響力を失われていくのが常で、現実は厳しいようだ。

1979年から魏京生氏の釈放運動を続けてきた世界的な人権団体国際アムネスティ(本部ロンドン)のスポークスマンによると、魏京生氏が人権問題にとどまらず、反中国政府の姿勢に傾いたことで、アムネスティとは路線の違いも目立ち始めているという。

江主席は今回の歴訪ではポルトガル、モロッコ、アルジェリア、サウジアラビアにまで足を伸ばす。「民主中国連合」ではしかし、魏氏が引き続き江主席を追いかけていくかどうかについては、「中国政府が知りたがっている情報であり、言えない」としている。

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