2002年5月28日 (新華ネット)
オランダ人ハンス・ヘイジスは、標高4800メートルの場所に張られたテントの中でチベットのスナックを食べながら、チベット高原のはるか西方の高地にそびえたつ「聖山」カイラスの美しい景観を眺め、高揚した気分を感じていた。ヒマラヤ山脈の最北に位置し、標高6714メートルのこのカイラス山に、チベット暦の馬年である今年、かつてないほど多くの外国人旅行者が訪れている。
事実、カイラス山は、「ンガリ巡礼2002」が、おしよせる聖山訪問者への食事サービスを開始した金曜日以来、注目をあびていた。
ハンス・ヘイジスと6人の仲間にとって、聖山を詣でることは、長年の夢であった。「ここに詣でることは、私たちの人生にとって決定的な意味を持つのです」と彼は語った。
すでにンガリにいる一万人の巡礼者や旅行者のうち、500人以上が外国から来た人々である。
実際、毎年馬の年になると、仏教教徒やヒンズー教徒などさまざまな宗教の信者が、それぞれの宗教的理由からカイラス山に集まってくる。
7年間チベット仏教について勉強しているカナダ人のアレックス・サウターは、自分を単なる旅行者というよりはチベット仏教の信奉者とみなしている。「この、並外れた旅のために、私は2年間準備に費やしました」と彼は述べた。
馬年に、聖山のまわりを一周することは、通常の年に12周するのと、同じぐらいの宗教的功徳があるといわれている。
ドイツ人の若者マーティンは、バイク仲間たちと初めてカイラスに到着したとき、深く感動したという。マーティンは、これまでに3度チベットを訪れているが、カイラスを訪れたのは初めてだった。「すばらしい体験だ」と彼は形容した。
しかし、高度4800メートルにおいて、一周52キロものカイラスの巡礼路を巡るのは、精神的にも肉体的にも、やはり苦しい試練である。酸素不足で高山病に苦しむ旅行者も多い。
ンガリ地方の王副長官は、地方当局は、旅行者、巡礼者のために、特別な酸素吸入器具やその他応急手当用品を準備したと説明している。
王はまた、カイラスの環境と文化を守ることは非常に重要であり、そのために今年の下半期、9千万元(約10,900,000ドル)をあてる予定である、と述べた。
ガイドであり、敬虔な仏教徒であるネパール人カジは、ここ10年間に数え切れないほどの旅行者をカイラス周辺に案内したという。
カイラス詣でのためにここに集まってくる人の数は年々増えているが、カジは、聖なる雰囲気が変わってしまったということはないと考えている。「私の心の永遠なる聖地なのです」と彼は言う。