(2006年1月15日 AFP)
(ニューデリー)中国による1950年のチベット占領以前に、チベット高官のために発行されたパスポートがネパールで発見された。この発見は、占領前にチベットが独立していたことを証明するものだ、とチベット人の亡命グループは発表した。
そのパスポートは1947年にチベット政府によって発行されたものだ、とチベット友のグループ事務次官のテンジン・ツゥンドゥ氏が声明の中で発表した。
ツゥンドゥ氏は、このパスポートが現在確認されている唯一の現存するチベットのパスポートだろうと語った。
パスポート——大きな1枚の伝統的なチベット紙だが——は、当時のチベットの財務大臣で、中国、アメリカ、英国に通商使節団を率いて訪問していた、ツェポン・ワンチュク・デデン・シャカパ氏に与えられたものであるという。
「この証書は、中国の武力侵略の前には、チベットが他国から法的に認められた独立国であったという重要な証拠です。」と、ツゥンドゥ氏は言う。
ツゥンドゥ氏が言うには、この証書には、アメリカ合衆国をはじめ、イギリス、インド、フランス、イタリア、スイス、エジプトなどの多くの国々のビザが発行されている。
そのパスポートの中央にはチベット政府の印があり、周囲はビザを発行した国々の国印で取り囲まれているという。
中国は、チベットを占領したことにより、チベットを封建的な圧政から開放したと主張している。
しかし、1959年に中国の支配に対して蜂起したが、失敗、亡命して、現在はインド北部に住むチベットの精神的な主導者であるダライラマ法王は、チベットの六百万人の人々は未だに中国の抑圧を受けているという。
中国は、形式的には1965年にチベット自治区を設けた。しかしダライラマ法王は、チベットには真の自治はなく、チベット人により多くの権利を与えるよう、中国政府に平和的なキャンペーンを働きかけている。
パスポートは、シャカパ氏から彼のインド人の友人に1992年に与えられたもので、最終的には、カトマンズの古物商の手に渡ったとツゥンドゥ氏は語った。どのような経路で古物商の手に渡ったかは定かでない。
パスポートは、2004年にチベットの僧院からの借り入れ金1万ドルで買い戻された。
ツゥンドゥ氏は、850人ほどのチベット人(亡命してインドとネパールに住んでいる)からの寄付によって、その僧院からの借入金を返済した。その返済が終わった時点で「このパスポートの発見を発表することに決定した。」という。
チベット友のグループは、このパスポートを、今年インドでチベットの以前の独立体制を証明することを目的として催される「国の物語:独立、侵略、そして国を追われたチベット(Story of a Nation: Independent, Occupied and Exiled Tibet)」の展示品に含める計画だとツゥンドゥ氏は語った。
ダライ・ラマ法王はチベットの独立要請をトーンダウンしているが、一時はチベットが独立していたと証明する物品は、ダライ・ラマ法王のよりよい自治の要請に対して、「より有利に働く」だろうとツォンドゥ氏は言う。
ツォンドゥ氏によると、その他の展示品は、「独立国チベットの切手、貨幣(紙幣と硬貨)、そして1920年に撮られたチベット軍隊の古い写真」などだという。