2020年7月9日
インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ
USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)からSARD(社会・人材発展基金)に、総額997,124 ドルが授与された。この資金は、「チベット人の財政面・文化面での復興を促進し、チベット人の経済・文化的アイデンティティを持続的な方法で復興させていくことに寄与する」ために使われる。今回の資金の授与は、歴史的に画期的な出来事である。アメリカ合衆国政府と提携する資金提供機関が、今回初めて、中央チベット政権に直接の開発援助を行ったためだ。協力協定には、中央チベット政権・SARD を代表して、ケイドル・オカツァン SARD 代表兼チーフ復興担当官がサインした。資金の授与は、6月23日に行われた。
中央チベット政権ロブサン・センゲ主席大臣は次のように述べた。
「中央チベット政権に直接資金援助をいただけることを長い間望んできましたが、その望みが叶いました。私の任期1期目からの長年にわたる努力が最高の実を結んだ瞬間です。USAID に感謝の言葉を申し上げます。そして、今回の資金援助が、USAID と中央チベット政権の間のさらなる資金協力関係につながることを願います。」
今回の資金は、TRP(チベット復興プロジェクト)に使われる。最初に資金が投入されるのは、チベット語再活性化プロジェクト、GDF(ガンジョン開発金融)の能力構築だ。チベット語プログラムは教育省によって行われ、GDF はSARDによって管理される。プログラムは2年間実施予定だ。チベット語再活性化プロジェクトの主要な活動には、
- チベット語のアニメ、オーディオブックの製作
- 小学校6年生から高校3年生を対象にした児童文学作品の出版
- 言語学習ポータルの開発
- 主に南アジア外在住の18~30歳のチベット人の若者を対象にしたチベットの言語・文化を集中的に学ぶ年1回の夏季プログラム
がある。GDF の主要な活動には、
- 戦略的なビジネスプランの作成
- 適切な経営情報システムの購入、カスタマイズ
- 戦略コンサルティング会社ダルバーグが考案したアクションプランを実施するための技術支援
- 各種トレーニング
がある。
中央チベット政権カルマ・イエシ財務大臣は次のように述べている。
「今回の直接資金援助は、中央チベット政権にとって意義深いものです。USAID の惜しみない支援に感謝いたします。素晴らしい勤勉な活動を続けてこられた SARD のみなさんにも『おめでとう』の言葉を贈ります。」
中央チベット政権への直接資金援助に向けた公式なプロセスは、2019年2月の資金援助事前評価で始まった。このとき、ニューデリー駐在の USAID の上級スタッフがダラムサラを訪ね、SARD およびその活動を多面的に評価した。この評価結果は良好であった。そして、同年12月、USAID の上級技術チームがダラムサラを訪れ、翌3月に提出する提案の作成を行った。その後も、SARD と USAID は、メールや電話で何度もやり取りを行った。
ケイドル・オカツァンSARD 代表兼チーフ復興担当官は次のように述べた。
「直接の資金援助をいただくことができたことは、SARD にとって自信になりました。また、中央チベット政権が海外の政府から開発支援を得ることができる政権であるということが証明されました。政府の資金提供機関と直接の関係を持つことができることにより、複数のメリットがあります。資金を蓄積することができ、SARD の能力をさらに高めていくことができます。今回の資金援助によって、SARD は、中央チベット政権とチベット人コミュニティを支援する真の開発機関となるべく、大きな一歩を踏み出しました。」
(翻訳:亀田浩史)