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中国の刑務所に収監されたチベット人環境保護活動家が瀕死の重体となる

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2021年12月13日
スタッフレポーター

ナクチュ出身のチベット人環境保護活動家ドンゲ氏。写真:チベット人権民主センター(TCHRD)

チベット自治区(TAR)ナクチュ(中国語: 那曲)出身のチベット人男性、ドンゲ氏が「瀕死の状態」であることが報告されました。信頼できる情報筋によると、彼は刑務所での長期にわたる拷問により負傷しており、状態は重篤であるとのことです。

ドンゲ氏は2018年、中国政府がチベットの神聖な山を採掘する計画に反対する、ディル郡(中国語:比如県)での反採掘抗議活動について、亡命チベット人に情報を共有したとして、「国家機密漏洩」の容疑で逮捕されました。この50歳の実業家は、環境保護の熱心な提唱者でした。逮捕後、彼は隔離拘禁され、長期間、強制的に失踪させられました。つい最近、ドンゲ氏がディル郡の刑務所に収容されていることが判明しました。判決を受けたという情報はありませんが、彼はディル郡の刑務所に収監され続けています。

情報筋によると、ドンゲ氏は慢性的な健康問題を抱えており、拘留中の拷問や虐待のために重篤な状態に陥っているとのことです。

過去には、いくつかの環境に関するイベントを主催し、その他の多くのイベントに参加しました。イベントの中で、彼はチベットの環境を守ることが急務であることを訴え、懸念を表明しています。2013年から2014年にかけてセルニャ村で開催された「クリーンな環境」コンテストでも優勝しました。

ドンゲ氏は、ナクチュのディル郡シャクチュ(中国語名:夏口鎮)ダクラ村に生まれました。

ディル郡における鉱山開発

2018年4月、マルコル村のリーダーであるカルマ氏の拘束と採掘プロジェクトに関する情報が亡命チベット人情報源に共有されたことをうけて、中国当局は、マルコル村、ワタン村、ゴチュ村から、ドンゲ氏を含む30人のチベット人を拘束したことがチベット人権民主センターから報告されました。

報告によると、聖地セブタ・ザグエン山での採掘活動を地元当局に許可する文書への署名をマルコル村、ワタン村、ゴチュ村の全住民に強要した公式命令に異議を唱えたとして、カルマ氏は2月末に拘束されました。しかし、カルマ氏は、テンジン氏やランディ氏といった経験のある党首が承認した証拠がなければ文書に署名しないと、公然と政府関係者に立ち向かいました。

カルマ氏の逮捕の知らせが亡命チベット人に伝わると、当局は直ちに亡命チベット人全員を会議に招集し、その場で情報を漏洩した疑いがあるチベット人を拘束しました。
地元のチベット人は、採掘によってツォ(チベットカモシカ)、ナー(ブルーシープ)、ゴワ(チベットガゼル)などの絶滅危惧種の生息地でもある、聖地セブタ・ザグエン山の環境が破壊されることを懸念していました。また、セブタ・ザグエンのすぐそばにあるダッカルという神聖な山では、採掘により地滑りが起こり、村人への水の供給が妨げられるのではないかという懸念されました。

-国連、EU、人権デスク、 チベット擁護セクションによる報告


(翻訳:Naoko Watanabe)