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中国で拷問疑惑高まる 「官吏による虐待行為が 広範かつ組織的に行われている」

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2001年2月12日
ロサンゼルス・タイムズ

(北京)現在、中国において拷問行為が広範に拡大している。人権擁護団体は、自白の強要、反政府抑圧の手段としてだけでなく、国家の「一人っ子政策」強要の手立てとしてもあらゆるレベルでの身体的虐待行為が官吏によって慣行されていると訴えている。

2月12日発表の記事の中で、拷問行為が中国全土で「広範に、組織的に行われて」きており、刑事裁判制度としてだけでなく、家族計画および税金徴集の管理機関においても拷問行為を行うところが増えているとアムネスティ・インターナショナルは指摘している。ところが、中国の法律では大々的に拷問行為が禁止されているために、拷問行為に対する抗議活動や責任問題がほとんど起こっていないと付言した。アムネスティ・インターナショナルUSAの事務局長代理カート・ゲーリングは次のように述べた。

「中国政府は前々から拷問行為を深刻な問題として捉え、国内ではほとんど行われていないと認識しているにも関わらず、中国における拷問は重要な人権問題の一つとしてなおも横たわっているのだ」

58ページにおよぶ実例報告には、警察による拷問とおぼしき行為の実例が多数載せられている。先の丸い器具による陰惨な殴打、電気棒による電気ショック、性的屈辱を与える—とりわけ売春容疑の女性に多い—などの行為である。

ある30歳の農夫の実例がある。彼の妻は許可を得ずに妊娠したとの容疑にかけられていたが、妻の居場所を自白しなかったため、体をさかさまに吊るし上げられ、殴打され、焼かれ、そして性器を切断されたのである。また、殺人事件の被告の実例がある。手錠や足かせで拘束した被告は、尋問者から供述書通りの自白を強要され、従わない時には、殴る蹴るの暴行を加えられたというものである。

アムネスティが報告した実例資料の中には、中国側の新聞記事から抜粋したものもある。中国国内においても、警察の蛮行に対する世論が高まり、これらの行為が人権侵害であるとの見方に変わった。このため、昨年12月、中国の立法機関の最高部は、拷問行為に関する問題が深刻化し、再考の必要があることを認めた。しかし、13億という莫大な人口を抱える大陸ゆえに、法規が全体に行き渡りにくいため、現在も原始的で低次元な方法を用いて法に追従させている。また、地方の官吏は中央への報告義務がないため、官吏は刑罰を受けることがないという状況も拷問行為を拡大させた要因の一つである。さらに中国政府は、政治的脅威と判断した法輪功の修練活動や他の団体の取締と同時に、犯罪撲滅キャンペーンを積極的に展開している。このキャンペーンは、拷問行為を根絶するという官吏の服務に相反するものであると人権擁護者らは主張する。

報告書の中には、数件の死亡実例が挙げられている。新絳やチベットなど西側の省の分離主義活動の被疑者が拘置中に死亡したというものであるが、犠牲者の中には、六人のチベット仏教尼僧が含まれている。ゲーリングは、「現在が最善の状況下であったとしても、さらに改善をすすめる策はある。現在中国に、警察による虐待行為や拷問を対処できる独立政治の意志が存在するとはいいがたい。これまで我々は確証を得たことがないからだ」と述べた。

中国をした訪問カナダのジャン・クレティエン首相に、人権に関する二つの主要な国際人権規約のうちの一つを近日中に批准すると朱鎔基首相は語った。これに対し、カナダ視察団は、この中で中国政府は中国側にとって有利な制限条件を協定に付帯するであろうとの見方をしている。

国連では中国における人権の実情に対し非難する決議がなされたため、(前述の)ゲーリングはブッシュ政権に国連を後援するよう求めた。これまでにも、クリントン政権がジュネーブで同様の試みを十回近く行ったものの、不成功におわっている。現在のところ、解決に前進する策を投じたとのホワイトハウスの発言はない。ゲーリングは最後に次のように語った。

「アムネスティ・インターナショナルの報告書は数年間におよぶ調査と資料化の成果である。実例の多くが間接的に聴取したものであるのは、中国政府がアムネスティによる国内の調査を許可しなかったことが理由である」