(2014年2月14日 CTA)
ダラムサラ:依然として緊迫の続くンガバ・チベット族チャン族自治州ンガバ県(中国四川省)で、中国当局の抑圧的な政策への抗議の焼身自殺が新たに起こった。焼身抗議者の数は、今年に入ってからの2人を含めて126人に上る。一方、北京在住の著名なチベット人作家によると、四川省政府はチベット人の焼身抗議者の遺族を罰する指針を発表している。
ンガバ県ギャバン トクラ村出身のドルジェ氏(25)は、昨夜キルティ僧院近くで焼身抗議を図ったと報道されている。チベットにおける中国当局の不当な政策に抗議するとスローガンを掲げていた。
事件現場の写真から、現場で炎に包まれるドルジェ氏と大勢の機動隊の様子が分かる。ドルジェ氏の現在の所在と安否は明らかになっていない。中央チベット政権は詳細が分かり次第発表するとしている。
地元情報筋によると、事件後、中国当局は現地に大規模な治安部隊を派遣し、通信手段を制限している。
ドルジェ氏は少年時代をキルティ僧院で僧侶として過ごし、その後、ゴログの洗車場に勤務していたが、事件前は家族が育てる家畜の世話のためにンガバ県に戻っていた。また、最近ではキルティ僧院の大祈祷会モンラム・チェンロにも参加していた。
中央チベット政権はこれまで繰り返し中国政府に対し、チベットにおける政治的弾圧、宗教的迫害、文化的同化政策、経済的疎外、環境破壊をやめるよう求め、同時にチベット人に対しては一貫して、焼身抗議などの過激な手段に訴えないよう呼びかけている。
各国政府や議会も含めた国際社会も中国政府に対し、チベットでの政治弾圧をやめ、チベット問題をダライ・ラマ法王の代理者らとの対話で解決するよう求めてきた。
チベット人焼身抗議者遺族への処罰
チベット人作家・人権活動家として有名なツェリン・オーセル女史によると、ンガバ県ゾルゲ郡(中国四川省)当局は、チベット人の焼身抗議者の遺族を罰する指針を昨年4月に発表した。焼身抗議者の遺族は国外への出国やチベット自治区への立ち入りを焼身抗議後3年間禁じられる他、中国政府や軍の雇用に応募できず、融資や事業許可の申請も自動的に拒否される。さらに遺族が使用する農地は強制的に政府に没収される。また、焼身抗議の疑いを事前に通報した者には報奨金がある。
この指針は現地のチベット僧院への弾圧が強化される中、発表された。部外者が参加する僧院での宗教活動が禁じられ、僧院の会計も厳しく監視、監査される。過去2年間でゾルゲ郡では抗議の焼身抗議者が9人に上った。
(翻訳:植林 秀美)