(2009年8月16日 Phayul.com )
ダラムサラ:中国政府は、昨年の騒乱以来はじめて、アメリカ議会職員のチベット訪問を許可した。インタナショナル・フォー・チベット(以下、ICTと略)が、8月13日付で発表した声明によれば、今週中に、少なくとも10名の議会職員が中国とチベット訪問ツアーに出発する予定である。また、これまでアメリカ議会職員のチベット訪問要請が何度かなされたが、中国政府により拒否されていたことが明らかにされた。
ダラムサラに拠点をおくチベット亡命政権は、この動きを歓迎し、中国政府が、アメリカ議会職員に自由かつ制限のないアクセスを認めることを期待している。チベット亡命政権のスポークスマン、トゥプテン・サンペル氏(Thubten Samphel)が、ボイス・オブ・チベットラジオ放送で次のような談話を発表した。「今回の議会職員訪問により、外交官、ジャーナリスト、研究者のチベットを訪問が増え、将来の独立したチベット内部状況調査の実施に道を開くことを期待している。また、このようなチベット訪問は有益である。」
しかし、ICTによれば、このようなチベット訪問は、行動が制限された旅程が組まれ、独立した調査を行うチャンスが少ない結果になることが多いという。2008年3月の反対運動以来、いくつかのヨーロッパ政府関係者と外国人ジャーナリストが、厳しく管理された形で、ほぼラサのみのチベット訪問を許されてきた。
ICTの対政府関係ディレクターのトッド・ステイン氏(Todd Stein)は、次のように語った。「アメリカ議会はこれまでもチベット問題への関心を示し、関与してきた。今回、議会職員に許される行動の範囲により、中国政府が、国際社会にチベットの状況をどのように理解して欲しいかを示すことになるだろう。今日まで、中国政府は、(騒乱は)外部からの干渉により起きた例外的な事件であるとし、チベット内の緊張と動揺を和らげてきたと説明している。議会職員が、(チベット問題の)基本的な原因と、中国政府の政策によるチベット人とその将来への影響に関する判断をくだす上で、十分な見聞ができることを期待している。」
更にICTによれば、今回の議会職員による訪問が、外国からの圧力をかわす目的で“不透明なアクセス”を許すという新たな中国の戦略が明らかになるという。この方法は、今年7月新疆ウイグル自治区での暴動の際に、外国人ジャーナリストの現地訪問許可(しかし独自取材は許されなかった)という形で実験されたのかもしれない。
ダライラマ法王は、最近の外国訪問の際に、多くの人々にチベットを訪れ、自身の目で、チベットの現状を見てきてほしいと訴えてきた。
(翻訳:川崎)