(By CHRISTOPHER BODEEN, AP通信)
北京AP通信 : 木曜—中国が外国人旅行者のチベット入国に対し、不安定な時期となる2月中旬より入国制限を実施する方針である、との発表が旅行会社よりされた。ラサ青年旅行社のユー・ジ氏によると、チベット首都にある政府観光局より、2月20日から3月30日にかけ外国人旅行者の入国を禁止する、との通知がされたとの事。
一方ラサにある某中国系海外旅行会社は3月20日まで入国禁止と通知されている。
ヒマラヤ地区においては、ロサールと呼ばれるチベット正月にあたる2月22日から24日にかけ、2008年3月14日チベット人が起こした激しい反中国暴動の日と同様、入域制限が設けられている。
少なくとも16人の僧侶、尼僧、一般チベット人の焼身自殺事件があった事から、今年は特に緊張が高まっている。彼らのほとんどがチベットの自由、そして1959年中国支配への反乱失敗によりインドへ逃亡したダライ・ラマ法王の帰還を訴えていた。
当局より毎年実施されている入国制限の背景理由について説明された事はないが、外国人入国者が新たな反中国抗議活動や衝突を生みだす刺激を与え、またそれらの目撃者になりうる事を前提とした対策であるようにみえる。
「我々は書面による通知は見ていないが、前回の制限内容と同じである。入国禁止理由は聞かされていないが、おそらくチベット正月のためだろう」とユー氏は語った。正式な制限期間に加え、焼身自殺事件の多くが起こった四川省や中国西部の地区においては、大規模な治安部隊の包囲のもと、既に数ヶ月間外部人を入域させていない。
取材したラサ観光局事務員は、当禁止令について否定しているが、自身の名前明らかにする事を拒否している。中国政府関係者はしばしばセンシティブな政治問題に関る指令を、否認の可能性を残しつつ支配力を維持するため、口頭でのみ発令している。
一般的に中国人はこのような入国禁止令の対象外だが、中国自身の希望でもある、国の最貧地域の主な経済推進力である観光事業の発展に打撃をあたえている。多くのチベット人が、中国政府の支配や中国多数派民族である漢民族のヒマラヤ地区への大規模移住に腹をたてている。中国がチベットに何世紀にもわたり支配下であることを主張し続けているが、多くのチベット人は、その大半の時間は機能的に独立している、と言っている。
(翻訳:H.Fujita)